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今までのこと
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「俺ね、結のことほんとに好きなんだ」
「…いきなり何」
「いきなりじゃないよ!いつも思ってる」
かぁっと顔が熱くなる
直接目を見ながら言われると、色々と恥ずかしい
「1回さ、結が入院したときの事覚えてる?ほら、熱中症で」
「…うん」
あの時は本当に申し訳ないことをしたと反省している
ひとりで焦ってひとりでパニックになって、散々迷惑をかけた
「あの時俺、結のこと何も知らなかった」
そんなことない。
あの時から鈴は、俺のことを分かろうしてくれていたし、それに名前だって知っていた
緩く首を振るが、鈴は「知らなかったよ」と寂しそうに呟いた
「だってあの時、初めて結の手の大きさを知った
それまで、知らなかった
手のサイズを知ったとき、気づいたんだ。
結の声も、性格も、何が嫌で何が嬉しいのか、何も知らないって。
それから俺は結のことを知りたくて色々した」
真剣に話してくれる鈴の言葉の続きを黙って待つ。
「今は分かるんだよ
手の大きさはもちろん分かるし、声だって分かる。
俺の前では少しお喋りが好きになってくれることも、すごく優しいってことも、頑張り屋さんで色々挑戦することも知ってる
たまに、色んなことが怖くなっちゃうのも知ってる」
思い出だってたくさん増えたよね。と微笑まれて、何だか無性に泣きたい気分になってきた
「俺はね、何となく結が好きなんじゃない
全部含めて、本気で、結のことが好きなの。」
視界が涙で潤んできた。
それを隠したくて俯く
「本気で結のこと守るから。大切にする。
絶対に辛い思いはさせない
だからさ」
そこで言葉を区切った鈴を見上げる
気づいていたのか、長い指が涙を掬い取ったあと、頬を撫でられた
「一生、俺のそばにいてくれないかな。」
「……え?」
「恥ずかしいんだから聞き返さないでよ」
もー。と笑われて何だか鈴の仕草ひとつひとつに、胸がドキドキとうるさいことに気づいた
「だからね、これから10年先も20年先も、最期のときまでずっと一緒にいよう?って言ってるの」
これって、何だか「結婚しよう」って言われているみたいだ
どうしよう。
嬉しいのか恥ずかしいのか焦っているのか、自分が今どんな気持ちなのか分からない
「泣きすぎ」
クスクスと笑われて、慌てて目元に手をやる
自分でもびっくりするくらいに涙を拭った指先が濡れていた
「好きだよ。 ねぇ、返事聞かせて?」
頭を優しく撫でられなが、俺の一生を左右する質問の答えを促された
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