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日常 side鈴
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side鈴
あの日、全てじゃないにしても結は俺に過去の話をしてくれた
声だって震えていたし、布団を必死に握っていた手からも結がどんな気持ちであの話をしていたのかは見ていれば痛いほどにわかった
告白したときは驚いていたけれど、大きく拒否されることもなくて本当にほっとした。けれど、返事はまだ保留。
結の気持ちが決まったらでいい。急かすつもりは少しもない。
あれから少しして結は退院。
例の事があったから、あそこの病院も行きづらいだろうと、カウンセリングも任意となった
結の心は俺が癒やしてあげたい
カウンセラーさんは職業だし、しっかりとした対処法があるのだろう
けれどそうではなくて、俺なりに結を理解して結の気持ちに寄り添ってあげたかった
退院して一週間。
特別大きな変化は無く、精神的にも落ち着いているように見える。とはいえ、睡眠時間はやっぱり短いし、食事の時間も不安定ではあるけれど。
「それ面白いー?」
結に近づき、テレビを見ながらそう聞いた
膝の上にのせると、ひんやりと冷たくなっていたから、寒かったのかもしれない
「面白くない」
「え!面白くないのー?」
笑いながら頭を撫でてみれば、ぽすん。と体重を預けてくれた
「鈴は面白いと思うの」
「えー、んー。これはあんまり面白くないかもね」
「面白くないんじゃん」
くすくすと笑えば、結も少しだけ表情を柔らかくした
「あ、そうだ。昼食食べられそー?」
「…要らない」
「お腹空いてない?」
後ろから抱きしめるようにして座っていたから、そのまま手をお腹に持っていき、結の腹部をそっと撫でた
「一口だけでも食べてみよ?」
「…うん」
少しずつでも、朝昼夜の食事のリズムを戻したい
それだけでも、随分と体は元気になれるだろうから
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