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病院にて!
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「こっちこっち」
「患者さんでした?」
「いや、私服でしたよ」
遠くから段々と近づいてくる声
病院から追い出されてしまうのだろうか
不安と怖さから時間を追うごとに吐き気が酷くなっていく
「…っ、はぁっ」
見つかったらどうなってしまうのか分からないという強い緊張感から、耳のすぐ近くで心臓の音が聞こえた
「ここです」
ついに、見つかってしまったようだ。
ぎゅ。と手を握りしめて耐える
「後は大丈夫ですよ。ありがとうございました」
「いえ、それでは」
ひとりがいなくなって、それでももう一人いる。
なのに、いつまで経ってもその人は何も言わない
あれ、…誰もいない?
閉じていた目を恐る恐る開けば、その人の足元だけが見える
やっぱりいた。
顔を見上げる勇気はなくてまた目を閉じた
「…たーまーき。目、開けてよ」
頭に、手が触れた
「俺だよ」
「…想?」
分からないけれど、そうであってほしい。
「うん」
「想?」
ガバッ。と顔を上げる
「…ぁっ、ぁ…想…!」
一気に涙が溢れてきて、勢い良く抱きついた
「何処にもいないから探したよ」
「…ごめ、なさいっ」
嗚咽混じりに泣きつけば「大丈夫だった?」と抱きしめ返してくれる
安心するその匂いに余計涙があふれる
「机に、っ…いなくて、それでっ、歩いて…いなくて…」
「ごめんね。怖かったね」
想の腕は大きくて、すっぽりと収まってしまう
「何もなかった?」
「…うん」
「一回事務室戻ろうか」
ひょい。と抱き上げられて俺も想にきつく抱きついた
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