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鈴がくれるもの
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じく。と火傷の痕が痛んだ
もう痛くないはずなのに、思い出せば痛くなるんだから面倒くさい痕だと他人事のように思う
「…っ、あつ」
鈴の声と共に大きな音が聞こえ、ひやり。と背筋が凍った
やっぱりあの人がいるのかもしれない。
俺の確認が甘かっせいで、鈴はあの人にお湯をかけられた?
考えれば考えるほど焦る
今ここにあの人がいたら、俺は何をされるの
会いたくないと思っていたくらいで恐怖の対象になんてなっていなかったのに、今は怖いと思えてしまう
じんじんと痛みだした火傷の痕に、記憶までもが蘇ってくる
あの、乾いた笑い声。
お湯をかけられたときの自分の汚い姿。
逃げたくて立ち上がったときに太ももを伝ったあの感覚。
だめだ駄目だ。
思い出しちゃいけない。
頭がごちゃごちゃになって息も苦しくなった
そこからは記憶が切れ切れだった。
鈴に抱きしめられて、でもあの人がいるかもしれないと思ったら怖くて。
気づいたら鈴の背中を引っ掻いてしまっていて、それなのに鈴に優しく抱きしめられていた
俺が傷つくより良いって、不思議なことも言われた
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