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気持ち
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ショーをする場所で開始を待つ。
鈴に「ちょっと待ってて!」と言われて今は一人で近くのベンチに座っていた
鈴といたら楽しく思えるのに一人になった途端、ただ人が多いだけの場所としか見れなくなる
小さい子が通る度に「白い」「怖い」そんなことを通過際に言われる
言われる方の気持ちにもなってほしい。
小さな子に本気でこんなことを思ってしまうのは大人気ないけれど、言われる方は嫌に決まってる
俺は何もしてないのに。
俺からしたら、通り際になんの考えもなく「怖い」なんて言ってくる人たちのほうが怖い
「──すみませーん」
顔を上げれば男の人が二人立っていた
「写真一緒に撮ってもらってもいいですか?」
「…や」
「え?だめなんですか?」
「…嫌です」
「なんで。見せ物とかじゃないの」
俺は見せ物じゃない。
ベンチから立ち上がって移動しようとしたら腕を掴まれた
「は?別にいいだろ」
何も言っていないのにカメラを向けられてカシャと言う音が聞こえた
顔を逸らしたいたし俯いていたから髪くらいしか映っていないだろうけど、それでも嫌なものは嫌だ。
「ほら、一緒に撮ろ」
自分達も写真に写ろうとしたのか近くに寄られる
「──…やだっ!」
なんで一緒に撮らないといけないの
珍しいから?変だから?
大体、俺は何回も嫌って言ってるのに。
「何がそんなに嫌なの
別に撮らせてくれても良くない?」
良くない。やだ。
「…っや」
顎を上げられて、顔が見えてしまう。
「…めっちゃ綺麗」
顔を逸らそうと思うのに相手の力が強くて動けない
そこでカシャカシャと音が聞こえてもう嫌で嫌で仕方なかった
「止めてもらえませんか」
「え?あんた誰」
「お前等の方が誰だよ。嫌がってるの見えないの」
鈴。
いつの間にか帰ってきた様で手にはジュースと袋に入ったお菓子のようなものが見える
「…説教かよ」
「は?お前等に時間割く程暇じゃないから」
「…っ、もう行こうぜ」
「おい、写真ここで消していけ」
「は?消すわけねーだろ!」
「今、ここで、消せ」
隣にいるだけで鈴の顔も見ていないのに声だけでかなり迫力がある
男の人たちは小言を言いながらも写真は消してくれたようだった
写真を消した男の人たちは足早に去っていった
「ごめん!ほんとごめん!怖かったね」
くるっと向き直った鈴と目があった
「…いい、大丈夫」
本当に大丈夫。
写真は消してくれたし、もういないし、大丈夫
アルビノであることで人目をひいてしまったりするのは嫌だけれど、でも今は鈴が一緒にいてくれる
一人になると色々考えてしまうけれど、今は鈴が隣にいる
さっきのことなんかより、今のこの時間を大切にしたい
「…何持ってるの?」
袋を持っている方の手にちょんちょんと触れた
「ごめんね。」
最後にひと言、本当に申し訳なさそうに謝られた
鈴は何も悪くないのに。
それどころか、助けてくれたのも鈴なのに。
ひと呼吸置いた鈴はいつも通りに戻っていた
それが嬉しくて表情が緩む
「なんだと思うー?」
「…パン?」
「惜しい!」
「お米」
「離れた!」
鈴と一緒にいるだけで楽しくなる。
答えは全然分からないけど、それでも楽しい
「答えは、…じゃん!」
「…?」
「これはね、チュロス!」
答え聞いてもわかんない。でも楽しい。
チュロスというものを手渡されて隣に座った
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