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◇◇
1日の終わりを知らせるチャイムが、教室中に鳴り響く。
これで、今日も終わりだ。
動き出す塊達を尻目に、その場で大きく伸びをする。
全身が凝っているようで、身体の節々からパキパキと音がした。
「…さて、帰るか」
誰に言うともなく呟いて、帰りの支度を始める。
幸い今日は掃除の当番も当たっていないし、さっさと帰ってゲームをしよう。最近買ったばかりのゲームがあるのだ。
家に帰った後の楽しみを思い浮かべて一人頰を緩めながら、机の中身を鞄に詰め、重いそれを肩にかける。
直後、ぞくりと背中を悪寒が駆け上がった。
同時に、背後から強く身体を押される感覚があった。衝撃で、意識が外へと蹴り出される。
目の前がチカチカして、真っ黒になって、頭の中にザザッという汚いノイズが響く。
“許さない”
頭の中に直接、知らない女の子の声が響く。
所々に金属音が混じっていて、酷く不快にさせる声だった。
直後、無理矢理空っぽにされた元の自分の意識のあった場所に、ずるりと何かが入り込んでくる。
「…ぁ、あ……」
ずきずきと、頭が激しく痛みだす。後頭部をハンマーでガンガンと叩かれているような、鋭い痛みだった。
痛む度、視界がぐらぐら揺れて、気持ち悪い。
“…連れていってあげる”
知らない女の子の声が響く。
身体が、鉛になってしまったかのように重たい。
「あ、ッ……ぁ…」
頭の奥で、警鐘が鳴っている。
心臓が、うるさいくらいに騒いでいる。
助けて。声にならない声が、唇から零れ落ちる。
“あははハはハハ”
頭の中に、また気味の悪い笑い声が響く。
恐怖に怯える俺を、嘲笑うかのような声だった。
“ね、一緒に行こう?”
その声を合図として、自分の身体が動き出す。
もう自分の意思では、身体を動かすことが出来なくなっていた。
俺の代わりに操縦席に座った誰かによって、俺の身体は動かされていく。
ふと、脳裏に彼の笑顔が蘇った。
『…気を付けた方がいいよ。君、狙われてるから』
心臓が、どくんと大きく跳ねる。
まさか。まさか、本当に彼はーー。
“…うふふふフふふ”
後悔する俺を嘲笑うかのように、あの不気味な笑いが頭の中にこだました。
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