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◇◇
放課後。
その場で小さく伸びをしてから、鞄を背負うと、いつものように高坂が声を掛けてくる。
「帰ろうぜ、涼太」
「ああ」
逢坂の隣を歩きながら、教室の扉を開ける。
そうして廊下に出ようとした時ーーふいに、後ろから誰かに手を掴まれた。
慌てて後ろを振り向くと。
「…林野君…!」
どこか、切羽詰まったような顔をした逢坂がいた。
どうしたの、と聞いてみるが、逢坂はそれには答えず、強く俺の手を引く。
その力が予想外に強くて、少しよろけてしまう。
隣にいた高坂は、不思議そうに俺と逢坂とを交互に見ていた。
「…ついて来て」
「えっ……あ、逢坂…?」
訳が分からなかったが、逢坂に引かれるままに歩き出す。
何度か立ち止まろうと試みると、逢坂は更に強い力で手を引っ張ってくる。
「涼太…?」
「…っわ、悪い高坂!先帰ってて…!」
きょとんとしている高坂を尻目に、そう声をかけて、逢坂の後に続いていく。
逢坂は、何だか急いでいるようだった。
途中何度か、質問を口にしてみたが、逢坂は黙ったまま何処かへ向かって歩いていく。
……そして、玄関を出て学校の裏に着いた時、逢坂は不意に立ち止まり、俺の手を離した。
「…よし、ここなら人気もないし、大丈夫かな」
逢坂はそう独り言を呟いて、首元に下げていたネックレスを外した。
「…な、なに……っ⁉︎」
ーーと、突然腕を肩に回され、ぎゅっと抱き寄せられる。
訳が分からずに、若干顔が熱くなるのを感じながらも、逢坂を見上げる。
「…あの時、祓ったと思ってたんだけどな」
「え……?」
「……くる」
逢坂の、俺の肩を抱く手に力がこもる。
ーーそして、次の瞬間。
「…ッ‼︎」
逢坂が、薙ぎ払うように、大きく鈴を振った。
それと共に、バチンという音がして、近くで若い女の悲鳴が上がる。
その声はまさしく……先程自分に取り憑いてきた、女の声だった。
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