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「もしかしたら、関係ないかもしれないけど……」
そう前置きをしてから、話し始める。
「一つ心当たりを挙げるとするなら、寝ている時に霊が現れたこと……かな」
「霊…?」
「そう、…ほら昨日の昼間、姿を消したあの女の霊だよ。
寝てたら、急に白い光が目の前に現れてさ。よく見たら、その光の中に彼女がいたんだよ」
「ああ、あの……!でもどうして、君の元に……?」
逢坂は眉を顰め、解せないというように、首を軽く捻った。
「それが、自分に言葉をかけてもらって嬉しかった、ってお礼を言いに来てくれたみたいでさ。ありがとう、って…」
「っ待って、霊が君に……お礼を言いに来た?まさか、そんな…」
逢坂は俺の言葉を遮り、信じられないというように何度かぱちぱちと瞬いた。
そして、目線を下に落とし、考え込むように俯く。
そのまま暫く沈黙が流れた後ーー逢坂はふと、顔を上げ、神妙な面持ちで、見つめてきた。
「その霊……君と話した後、どうなった?」
「え……」
「成仏……したの?」
“貴方の言葉で、心の奥底に溜まっていた泥がなくなって、身体が軽くなったんです。…きっと今なら、成仏出来る”
「うん、…したよ、成仏。彼女とても……幸せそうな顔してた」
涙さえ浮かべて、心底嬉しそうにしていた彼女の顔が、瞼の裏に蘇る。
あの時の彼女は、本当に幸せそうで、自分まで泣きそうになったんだっけ。
「お前は昨日さ、彼女のした行為を悪だって言ってたけど……」
確かに、彼女の行為は、人間から見れば悪なのかもしれない。
けれど。
「彼女から見れば……害を与える存在だと決めつけられて、未練もそのままに無理矢理祓われる……その行為もまた、悪なんじゃないのか…?」
「……」
「俺も、勝手に危険なことしたのは悪いと思ってる。…ごめん。でも、もう少し霊達の話を聞いても、いいんじゃないか。そうすることで、救われる人もいるんだからさ」
ーー少し、お説教みたいになってしまった。
うざいと思われたかもしれない。
朝は、逢坂が気にしてないなら言わなくてもいいかと思ったけれど……でもやっぱり、自分の意見を、しっかり伝えておきたい。
もやもやを抱えたまま、こいつと接するのは嫌だった。
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