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◇◇
「……で、ああいう状況になった、と…」
帰り道。
今日は、高坂が用事があって一緒に帰れないので、流れで逢坂と帰ることになり。
当然、全ての経緯を説明しろと言われ、やっと説明し終えてーー今に至る。
逢坂はふんふんと頷いて聞いていたが、全てを聞き終えた後、にこりと笑って、一言。
「…君って馬鹿なんだね、意外と」
「う……」
ーー悔しいけど、何も言い返せない。
黙り込む俺を見て、逢坂は深く溜息をつく。
「まあ、こうなった以上、行くより他にないか。……まあ、そう落ち込まないで。落ち込むより、対策を練る方がよっぽど有益だよ」
「逢坂…」
ーーやっぱり、優しい。
その心の広さに、ちょっとした感動さえ覚えていた俺に、それにね、と逢坂は微笑み、言葉を付け加えた。
「ああいう所にいる霊って、弱いものが多いから。基本俺から離れないでいてくれれば、大丈夫だと思うよ」
「ほ、本当に…?」
「うん、本当。…あ、でももしも途中で具合が悪くなったりとか、危険を感じたりとかしたら、すぐに言ってね?」
「…うん、分かった」
どのくらい怒られるだろうか、とか考えてたけど、思っていたよりも逢坂は怒っていないように見える。
取り敢えず、良かった。
ふう、っと安堵の溜息を漏らすと、隣で逢坂がくすりと笑う。
なにかと顔を上げれば、逢坂は口元を綻ばせたまま、小さく首を横に振った。
「いや、…こんなこと言うのはどうかとも思うけど、少し楽しみかも」
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