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◇◇
彼と別れ、暫く歩いたあと、人気のない道に差しかかる。
そこでふと足を止めてみればーー後ろでも、ぴたりと足音が止む。
…これで、確信した。
自分のあとを、誰かが着けてきていると。
いや、正確には“人”じゃない。
ーー霊だ。
ばれないよう、首元にかけた鈴を静かに外して、足を止めたまま、後ろにいる人物に声を掛ける。
「…どうして、俺のあとをつけてきてるんですか」
後ろで、はっと息を呑む音が聞こえた。
その瞬間、素早く後ろを振り向き、手に持っていた鈴をその人物へと投げつける。
ーーが、鈴はそいつに当たる前に、まるでそこに見えない壁が存在しているかの如く、バンっと跳ね返されてしまった。
「…っ」
鈴が、押された。
その事実から分かるのは……そいつは、そこら辺にいるような弱い霊じゃないってこと。
それも、……かなり強い霊力を持っている。
「……お前、…何者?」
そう聞けば、そいつはふっと笑って。
「……さあな」
そしてそれだけ呟くと、ふっと煙のように、消えてしまった。
「……」
ーーあいつは一体、何者なのだろう。
そして、何が目的で、自分を着けてきたのか。
何も分からないけれど、少し警戒した方がいいかもしれない。
今のところはターゲットは自分のようだが、何かの拍子で林野君に移る可能性だって、十分にあり得る。
……明後日に控える、心霊スポットの件、何も起こらなければいいのだが。
これが杞憂であってほしいと願いながら、乱れた制服を整え、俺は家がある方向へと歩き出した。
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