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「……もしかして」
は、と脳裏に蘇ったのは、あの言葉。
『間違いなく、奴は俺達の側にいる。それも、……君を狙ってるらしい』
何だか誰かに見られているような気がして、恐る恐る後ろを振り返ってみるものの……誰もいない。
が、一度恐怖を覚えてしまえば、中々身体が動かなかった。
頭にちらりと逢坂の顔が浮かんで、慌ててそれを打ち消す。
先日、遠慮せずに頼ってくれと言ったばかりなのだ。
そんな手前、簡単にあいつに頼るわけにはいかない。
それに、……少し、気まずい。
「ーーねえ、そこの貴方」
「…っ」
背後から突如聞こえてきた女性の声に、びくりと身体が跳ねる。
慌てて振り返れば、そこにいたのは、まだ若いとても綺麗な女性。
ーーいつの間に。
全く見覚えのない、しかも美しい女の人に唐突に話しかけられたことに、少し動揺しながらも、勤めて平静を装いながら何ですかと聞いてみる。
そうすればその人はくすりと笑って、こちらに向かって歩いてくる。
「…っあ、あの…?」
その人は、俺の少し前で足を止めると、すっとこちらに手を伸ばしてきた。
その手が、頰に触れて、そっと下へ滑ってゆく。
その手のあまりの冷たさに少し驚きつつも、何も抵抗出来ないでいると、その人はまた、小さく笑って。
「……まあ、綺麗な白い肌…。顔も可愛いし、スタイルだってまあまあ。けれど、……所詮、その程度ね。あの方のほうが、彼に相応しい」
「…は…?」
彼女は一体、何を言っているのだろう。
戸惑う俺に、彼女は真っ赤な唇を歪めて、諭すように言う。
「…悪いことは言わないわ。彼から離れなさい」
「……っえ…」
「…そうね、あなたの可愛さに免じて、今日は何もしないであげる。けれど、あなたが私の忠告を無視して、彼に近付こうとするなら……あなたの身の安全は、保証できないわよ」
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