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「あっ……!」
「…アハ、…オイツメタァ…」
あっという間に、上に跨がられて、身体の自由を奪われる。
何とか藻搔いてみるものの、常人とは思えないほどの力で抑え付けられ、身動き一つ取れない。
彼は笑いながら、首に手をかけ、ぐっと爪を食い込ませてくる。
「っあ、……く…」
息が、出来ない。
手足が痺れて、視界が霞む。
痛い。苦しい。
その感覚だけが、頭を支配して、それ以外何も考えられない。
「アハハハハハ、シンデ、…シンデエ…!」
瞳に、生理的な涙が滲む。
きっと、昔の自分なら彼を突き飛ばして、最悪その身体を壊してでも、自分の命を守ろうとしただろう。
自分以外は、どうだっていいって。
そんな風に、思ってたから。
ーーけれど、今は違う。
自分でも信じられないけれど、自分の命よりも彼の身体を傷付けたくないって、その思いの方が……強い。
「……は、……やし、…っく…」
霞む視界の中で、狂気を帯びた彼の瞳が、きらりと光った。
かと思うと……頰にぽたりと、生温かいものが零れ落ちて。
「……逢坂、…めん、こんなこと……したくないのに…」
彼の顔が、僅か歪む。
…ああ、胸が痛い。
首を絞められるより、彼の涙を見る方が、よっぽど苦しくて、辛い。
ーー守るって、約束したのに。
母様も、父様も、…林野君も。
結局、自分は誰も守れないまま、死んでいくのか。
「……っご、めん……なさ……」
乾いた呟きが、唇から漏れる。
意識が遠のいていくのを感じながら、目を閉じようとしてーー不意に、胸元から発せられた白い光が、それを妨げた。
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