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花の少年
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国の中心部から外れた田舎町に花のように美しい少年がおりました。
ノア・リットン
小さな街ではあるものの、この街の領主であるリットン男爵の息子の1人だ。
しかし、彼を初めて見たものは彼が貴族だとは思わないだろう。
だって彼はいつもツギハギだらけの衣服を身にまとっているのだから。
「ノア、まだ部屋の掃除は終わらないの?」
「ごめんなさい、お姉様。すぐに終わらせます…。」
ノアはあかぎれだらけの手で冷たい雑巾を絞る。
「全くノアったらとろいんだから。」
ノアの姉であるメリエルは綺麗なドレスを身にまといノアを見下しながら言った。
ノアは男爵家の一員でありながら使用人のような暮らしをしていた。
いや、使用人の扱いの方がまだましなのかも知れない。
意地悪な兄とわがままな姉に朝から日が暮れるまで付き合う毎日。
お給金はもちろん出るはずもなく、余りの食事とボロボロになったお下がりの服、暖のない隙間風の吹く屋根裏部屋だけを与えられているのだった。
なぜノアがそんな目にあっているのか、それはノアの生い立ちが原因している。
ノアが産まれる前、リットン男爵とリットン夫人はそれはそれは仲が悪かったそうな。
元々攻略結婚だった二人。
夫人は子爵家のお嬢様でプライドが高く、結婚してからも爵位の低い男爵をみくだしていたらしい。
そんな二人が仲が悪くなるのは仕方の無いことだったと思う。
跡継ぎとして二人の子供を設けてからというものの男爵はあまり家に帰らなくなった。
男爵は家に帰らない代わりに街の宿を利用することが増えた。
そこで出会ったのが宿屋の娘、ノアの実の母、フランである。
男爵とフランは恋に落ちた。
そして出会って2年が過ぎた頃、フランのお腹に命が宿った。
つまりノアは、リットン男爵とその不倫相手との間にできた子なのである。
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