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32話 –真空side–
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「ッ...なんでッ‼︎」
やっと会えると思ったのにと睨むが目の前の人間は顔色を変えない。
ただ冷静に俺の顔を見つめている。
何を考えてるのかわからない眼を見て息を飲んだ。
「ボクは冬麻に嫌われたくないんだよ。
冬麻の望まないことをしたら嫌われちゃうだろう?」
口元だけに笑みを浮かべてそんなことを言う。
「ッ.........。」
冬麻の、望まないこと......。
確かに冬麻が姿を消したのは俺たち家族のせいだ。
あんな態度をとり続けた故に、冬麻はいなくなった。
自業自得。
その言葉が頭の中に浮かぶ。
何も言えずに黙り込んでいると
「冬麻から会うときは必ず一対一って言われてるんだ。」
湊が話し始めた。
「でもさ、
一対一で会ったとしても、そこに偶然知り合いがいることってあるよね?」
この意味、わかるでしょ?と不敵な笑みを向けられる。
「真空が冬麻を好きなように、ボクも冬麻のことが好きなんだよ。」
そこまで言ったところで、耳元である言葉を囁かれた。
きっと普通の人間なら拒む。
でも、俺はもう...。
「て、言うことだから。
もう時間だし、戻ろうか。」
湊の言葉に「ああ。」と返して教室を出た。
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