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54話
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(ッやばい......!)
そう思うと同時に走り出すと
「待ってッ兄さん...!」
後ろからも走る足音が聞こえてくる。
真空は昔喘息を持っていて走ったりできなかった。
しかし今はどうなのかわからない。
下手したら僕より速いかもしれない。
そうなったら本当にやばい。
捕まってしまう。
無我夢中で走り続けて人気のないところに出る。
息が切れて呼吸が苦しくなってきたところで、目の前の空き教室に入った。
ドアの前で力なく座り込む。
息が整ってきて思考も働くようになったところでいろんなことが頭の中をよぎる。
(なんで?なんで真空がここに...?
どうやってここを調べたの?)
そのせいで次は指先が段々冷たくなっていくのがわかった。
もしかしたら、前みたいに連れ戻そうとされるかもしれない。
(嫌だ、帰りたくない......。
戻りたくない.........!)
頭を抱え込んだところで、廊下から微かに足音が聞こえてきた。
その音にびくりと肩が跳ね上がる。
冷たくなった手をぎゅっと胸の前で握った。
心臓が痛いくらいにバクバクとなる。
すると
足音がドアの前で止まった。
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