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55話
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(なん、で......。)
なんでこの教室にいるのがバレた?
途中で撒けたと思ったのに。
ぐるぐると思考が混ざる中反対側の扉を確認するが、生憎脚立などが散乱していて道を塞いでいる。
少しでも距離を置きたくてずりずりと床を這う。
恐怖からか足には力が入らない。
扉付近から少し離れた物陰に隠れるとガラリと扉が開いた。
「ッ.........」
思わず声が出そうになりながらも、音を立てないようじっと耐える。
「冬麻.........。」
入り口付近で呟くように名前を呼ばれる。
いつもの兄さん呼びではないけど、声は真空のものだ。
「...兄さん、いる?」
数歩歩く音とともにそんな声が聞こえる。
呼吸音だけでもバレてしまいそうで、震える手で口元を押さえた。
すると
「......いないか。」
という呟きと共に廊下へと出て行く足音が聞こえる。
安心して肩の力をぬく。
(......安心してる場合じゃないよね。)
早くここから出てこの階から離れよう。
そう考えてドア付近へ近づく。
真空は多分今来た方向とは逆に行くはず。
なら今走って来た方へ逃げよう。
ドアを開け、元来た道を引き返そうとした時
「うわッ⁉︎」
グイッと腕を引かれる感覚とともに背中が壁にドンっと勢いよく当たった。
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