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プロローグ
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どこにでもいる、その学校のアイドルみたいな奴。
イケメンで頭も良ければスポーツ万能、女にキャーキャー騒がれようとそれを鼻にかけることもなく、いつも爽やかでいて嫌味を感じさせない姿勢。
そういう天から二物も三物どころか四物以上与えられているような奴は、平々凡々な俺にとっちゃ同じ男として嫉妬の対象以外の何者でもなかった。
――のだが。
「好きだ。…大好きなんだ。これ以上はもう隠せない」
俺は開いた口が塞がらなかった。
学校一のイケメンがボロボロ涙を流しながら、何故か俺に告白してきていた。
夕日に染まる誰もいない放課後の教室で、オレンジ色に濡れる涙の雫は驚くほど綺麗で、さすがイケメンは泣いている顔も美しいのかと俺は呆気に取られたようにそいつの顔を見つめていた。
「あー…えっと」
とりあえずこれは何かのドッキリかなと確かめようと声を出した矢先、ビクリと怯えたように目の前のイケメンは肩を震わせた。
それから俺の顔色を伺うようにおずおずと顔をあげる。
その驚くほど赤く染まった顔に、俺は潔く悟ってしまった。
マジかよ。本気じゃねーか。
「…あー、じゃあ付き合う?」
「えっ…!?えっ!ほ、ほんとに?」
「おー。けど俺わりとワガママで気まぐれな性格だからさ、それでいーなら」
付き合おうと思ったのは単なる好奇心。
だからこその、逃げ道。
「――いい。いいからっ。俺の事を見てくれるなら、それでもいい…っ」
正直コイツが何で俺なんかにこんな必死なのか、心の底から分からない。
だがただの興味本位で適当に答えた俺の返事に、学園のアイドルはこれ以上ないほど至極幸せそうに涙を零して笑った。
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