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「で?なんかもう一人ついてきてるけど」
よく晴れた麗らかな休日。
この長閑な環境とは打って変わって、冷やかな視線で俺は真島を見つめる。
真島は俺の表情に焦ったように視線を彷徨わせた。
「まあまあ高瀬くん。俺が無理矢理ついてきちゃっただけで、奏志は悪くないからさ」
「無理矢理ついてくんな」
そう言ったら、目の前の女男――真島の親友はピクリと苛立たしげに口端を歪めた。
真島の前だとキレられないとか窮屈な奴だな。
「ご、ごめん高瀬くん。でもユキすごく頭良いから、きっと力になれると思う」
「…まあ別にいいけどさ。何人増えようがやること変わんねーし」
さっさといこーぜと二人に背を向ける。
というわけで勉強会は一人暮らしのヒビヤンの家でやる事になり、俺と真島はとある休日の午後、駅前で待ち合わせをした。
なんか一人鬱陶しい奴が来たのは誤算だったが、本日はお日柄よろしく絶好の合コン日和だ。
室内だから天気関係ないが。
休日の街中は人通りも多く、ちょくちょくスカウトで足止めされる真島を置きざりにして、俺は一応一人増えたことを伝えておくかとヒビヤンに電話をかけた。
どうやらもうメンバーは揃っているらしく、それじゃお菓子でも買っていくわと電話を切る。
「おい、最低ゲス野郎。体のいい合コンに奏志巻き込もうとしてんじゃねーよ」
真島が足止め食らってるのをいいことに、いきなり本性だしてくんな。
この豹変ぶりがいっそ清々しいわ。
「えーと、結城だっけ。お前なんでそんな真島に過保護なんだよ。もしかしてお前もホモか?」
「なっ…!お、俺はただ奏志が心配なだけだっ」
「心配ってさあ、あいつだって子供じゃねーだろ」
「奏志はすごく綺麗で純粋なんだ。お前みたいなやつが寄ってきて騙されないように俺がいるんだよ」
「寄ってきてんのは真島の方なんだが」
それを言ったらチッと舌打ちされた。
俺と真島のその辺の関係は、こいつもわかってるらしい。
黙ってれば結城だってなかなかの美形なんだが、俺を見る目はいつだって酷く歪んでいる。
心の底から嫌われているんだろうが、別にこいつに嫌われていたってどうということもない。
「とりあえずお前お菓子買うの付き合えよ。すぐそこにスーパーあるから」
「はあ?なんで俺が。お前ら普通科のバカどもに付き合う気なんかサラサラないから」
「お前分かってねーな。俺がこの合コンで女の子といい雰囲気になりゃ、真島と別れさせるいいチャンスかもしれないだろーが」
そう言ったら、ハッとしたように結城は考え込む。
こいつも単純かよ。
「ってそれ奏志とは遊びで付き合ってるって言ってるようなモンじゃねーかっ。クソ野郎」
「はいはい。で、そのクソ野郎を大好きな真島くんを大好きな結城くんは、結局俺の買い物に付き合うのか?」
結城は少し視線を彷徨わせたが、仕方ないという結論に至ったんだろう。
ぶっきら棒な態度のまま、俺の先に立って歩き始めた。
そもそも俺に絡んでいる暇があったら、いつのまにかスカウトから街角スナップだかに捕まっている真島を助けてやれよとは思うが、今のところ荷物の持ち手が欲しいので言わないでおく。
というか真島はいつまで捕まってんだ。
そのうち怪しいツボとか買わされないか心配になってきた。
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