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その後気を取り直して勉強会が再会したが、亜美ちゃんはもうどこかソワソワしていて真島が気になって仕方ないという感じだった。
あーあ。結局真島に女持ってかれるとは。
途中までいい感じだったのに。
そしてなによりヒビヤンが物凄く面白いものでも見たという、喜々とした顔を向けてくるのがたまらなく鬱陶しい。
「ちょっと。高瀬の馬鹿。結局奏志に取られてんじゃん」
飲み物継ぎ足ししてくるとキッチンへ来た俺を、どうやら結城が追ってきたらしい。
腰に手を当てて呆れたように俺を見る視線がチクチクと痛い。
「…あれは予想外だった。イケメンのあの言葉はねーわ」
「…確かに見事なまでの、無自覚な口説きっぷりだったけど」
はあ、と二人揃ってため息。
なんでこんなところで俺はコイツとシンクロしなきゃいけねーんだ。
「ところで俺予備校あるから帰るけど。奏志も連れてくから」
「あー、勝手に連れてけ」
ひらひらと力なく手を振る。
そういえば既に鞄持ってるし、わざわざそれを言いに来たのか。
「…ま、でも高瀬の気持ちが奏志に本気じゃなくて、ある意味良かったかも」
「え?」
ボソリと言われた言葉を聞き返すが、結城はフンと鼻を慣らしただけだった。
「ま、せいぜい底辺なりに勉強頑張りなよ」
「お前ってつくづく嫌味な奴だよな」
「普通科の人間と仲良くする気はないからね」
「特進科ってどんだけエライんだよ」
そう言ったら、仕方ないなあとばかりに結城は鞄を漁り出す。
「これ、この間の模試なんだけど。こんなレベルどうせやってないんでしょ」
見せられたのはかなり難易度の高そうな答案用紙だった。
確かに頭はいいらしい。いいらしいが――。
「ぶっ、お前名前貞男って言うのかよっ。全然見えねえ」
「…っあ!」
答案用紙に記載された名前のほうが強烈すぎて、他が何も頭に入ってこないんだが。
てっきりユキとか呼ばれているから、もっと繊細な名前なのかと思っていた。
全国の貞男さんには悪いが、こいつの外見からは想像つかなすぎて笑える。
「み、見たなっ…」
「お前が見せたんだろうが。なんだよ、別にかっこいいじゃん。男らしくて――っ」
ぶふっと再び笑ったら、真っ赤な顔でポカポカと殴られた。
「お前だって梅乃とか女みたいな名前してんじゃんっ」
「まあ、そうなんだけどさ。笑って悪かったって。貞男」
「名前で呼ぶなっ!たか…梅乃っ」
負けじと人の名前をからかおうとしてくるが、別に俺は自分の名前嫌いなわけじゃない。
なんて結城――いや、貞男をからかっていたら、真島が顔を出した。
何かものすごく複雑な顔をしている。
「…いつのまに、名前で呼び合う仲になってるの」
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