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「で、大丈夫かよ」
「う、うるさい…話かけんな」
うぷ、と吐きそうになっている貞男の背中を擦る。
あれだけデカイ態度とっておいて、絶叫系ダメなのかよ。
「結城くん、大丈夫?」
「ユキ、ちょっと休憩しようか」
「いや、大丈夫だから…」
強がってはいるが、その顔は誰が見ても真っ青だった。
だがプライドの高いこいつの性格上、真島に変な所を見せたくはないんだろう。
好きな奴に格好悪いところを見られたくない気持ちは、男ならよく分かる。
「おい真島、ちょっと飲み物買ってこいよ」
「え?あ、うん!行ってくる」
天命を受けた勇者の如く真島は力強く頷いて、さっと踵を返す。
「あっ、真島くん。私も手伝うね」
亜美ちゃんがそう言ってすぐに真島を追っていく。
それを目で追っていると、ぐっと腕を引っ張られた。
視線を落とすと、貞男が弱々しく俺の腕を掴んでいた。
「…お前は、いいのかよ」
「は?何が」
「…奏志、あの女に取られても」
「別に」
それならそれでいい。
真島が俺より亜美ちゃんを好きになるなら、そっちの方がいいにきまっている。
そもそも俺と真島のこんな関係が長く続くとは思ってないし。
俺の返答に、具合悪いくせに貞男は余計に険しく眉を寄せた。
体調悪いんだから余計なこと考えないで大人しくしとけよ。
「なんでこんな奴…っ。なんで奏志はお前なんだよ…」
「しらねーよ」
背中を擦りながら突き放したように言うと、貞男は青い顔のまま目を閉じた。
その後真島が戻ってくるまで、他の二人の女子と話ながら時間を潰した。
貞男はしばらくすると体調を取り戻して、ちょうど時間も良かったから昼飯でも食おうとなった。
「ねえ、夜パレードあるんだって。すごい綺麗らしいよー」
「わー、楽しみだねえ」
女の子たちがパンフレットを見ながら盛り上がっている。
「高瀬くん、さっきはありがとね。ユキのこと」
「え?俺は何もしてねーけど」
飯を食っていたら、隣に座っていた真島にこっそり言われた。
否定してるのに真島はニコニコと上機嫌な顔だ。
意図はよく分からんが、真島が嬉しそうなら別にいいかと追求しないでおく。
さて、午後からはこの遊園地の一つの目玉である、お化け屋敷に入ろうということになった。
当然みんなで一緒に入ろうとかいう、くっそ寒い選択肢は俺にはない。
ここはペアになろうぜ、と提案した。
「じゃあ俺は高瀬くんと――」
「はい、女はそっちでじゃんけんして。俺らこっちで決めるから」
真島が何か言いかけたが、お前の意見を取り入れるつもりは全くない。
「俺、お化け屋敷苦手なんだよな。奏志一緒に入ろうよ」
「えっ、俺は高瀬くんと…」
「お前らうるさい」
さっさとじゃんけんしろと促して、俺は真島が出したチョキを確認すると、開口一番に言った。
「真島チョキな。そっちのチョキは?」
「…あっ、私」
さすが出来レース。
亜美ちゃんがおずおずと名乗り出ると、あっという間にペアが完成した。
こういうのグダグダやってるのが一番さめるからな。
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