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「あれ?亜美の事探しに行かなかったの?」
「あー、わり。変化球投げられねーから直球で亜美ちゃん口説いてこいって言ったら、その気がねーってさ、真島」
「あー…真島くんだもんね。やっぱり難しいよねえ」
女の子たちは別段気にした様子もなかった。
よく考えりゃあの真島だ。
一筋縄じゃいかないことくらい、女子だって分かっている。
これが俺だったら、高瀬のくせに、とか言われんのかね。
「えっと…なんかごめんね?」
真島がそう言ったら、二人共焦ったように逆に真島の機嫌を取っていた。
とりあえず亜美ちゃんは貞男に任せたし、ちょっと可哀想だがまあ仕方ない。
俺は亜美ちゃんと真島を天秤にかけて、真島の方を悲しませたくないと思っただけだ。
俺のものにならない女より、俺のために美味い飯作れる男のほうがいいに決まっている。
ただそれだけの話だ。
「わ、始まったよ。綺麗だね」
女子二人がきゃいきゃい騒ぐ。
周りは人混みでごった返していて、人の隙間からなんとか見れる状態だった。
それでも楽しそうにしている女子二人を微笑ましく見つつ、ちらりと真島を見上げる。
あっさり目が合った。
パレードを見ろ。こっち見んな。
そう思ったが、真島はずっと俺を見ていた。
これはこれでなんか居た堪れないんだが、まあ今日のところは真島の好きにさせてやろう。
かと思ったら、そっと服の裾を掴まれた。
真島は赤い顔のまま小さな声で「ちょっとだけ」と言った。
別に手を握るでもない、こんな少しの触れ合いにちょっともクソもないが、俺は何も言わず許してやるようにコクリと一つ頷く。
真島のちょっとは、パレードが終わるまで続いた。
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