アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
36
-
「うわっ、なんだそれ。お前大丈夫かよ」
「ああ、これ俺のじゃねーよ。真島」
「…なんだよ。ビックリしたな。って真島は大丈夫なのかよ」
自席に戻ったらヒビヤンが驚いた顔で声を掛けてきた。
一応血がついている袖は隠してきたつもりだが、さすがに意識して見られるとすぐバレるか。
「ああ、大丈夫。鼻血出しただけだから」
言いながら俺はシャツのボタンを外す。
もうすぐ5限の教師くるし、さっさと着替えねーと。
「って…袖の方はいいとして、なんで肩までついてんだよ」
「えっ。マジ」
バサリとシャツを脱いだらマジだった。
ちらりとヒビヤンを見れば、案の定なにか面白そうな顔をしている。
うぜえ。
だがさすがにこれは言い訳しづらいし、しかもなんだかはぐらかす気力も失せていた。
謎の脱力感に苛まれているというか、もう何もかもめんどくせえ。
「…真島に抱きつかれて興奮したらしく、鼻血だされた」
「わお。すげーリア充発言」
「なあヒビヤン、俺ってもしかして男から見て魅力的なのか?」
ひょっとしてゲイに好かれる顔とかなんだろうか。
だとしたら女と付き合ってるヒビヤンには、余計に知る由もないことだが。
「うーん。とりあえずお前ほっそいな。もっと飯食えよ」
「は?」
言いながら脇腹を触ってくるヒビヤンの頭を叩く。
とかやってたら隣の席の女子に「服着てよ」と怒られた。
人を変質者扱いすんな。
「まあ真島がお前のこと好きなのは分かってたけど」
「ああ、そう。やっぱり」
「あんな毎日嬉しそうな顔して高瀬のとこ来てたら気付くわ。俺お前の後ろの席だし」
「隣の席の女子は気付いてねーけど」
ジャージを着ながらちらりと隣の女子を見てみたが、もう気にせずで他の奴と駄弁っていた。
まあ、俺への感心なんてそんなもんだよな。
「で?高瀬は真島をからかって遊んでんの?」
人聞き悪いこと言うな。
と思ったがまさにその通りだった。
いや、正確にはそのはずだった。
最初はちょうど彼女もいないし、面白そうだから暇つぶしに付き合おうと思った。
が、最近はいまいち真島を突き放しきれなくなっているような。
あいつが思いの外真剣だったことに気付いて、俺は罪悪感でもわいてるのか。
さっきだって、何も鼻血止まるまで見てやる事はなかったんじゃないか。
押し黙った俺に、ヒビヤンは頬杖をつきながら目を細める。
「お前バカだろ。そんなの情が出る前にやめちまったほうがいいぞ」
言われて気付く。
なるほど、情か。
どんな奴だって一緒にいる時間が増えれば必ず情がわく。
「…そう、だな」
このままいけば、俺はたぶん真島に対して情がわく。
そうなった時、別れるのがもっと面倒くさくなるのは目に見えている。
「…お前ってさ、人を突き放しているようで実際かなりの寂しがりやだと思うよ」
はあ?とは思ったが、数学教師が入ってきたこともあって話は途切れた。
いつも気にせず話し掛けてくるくせに、珍しくヒビヤンは真面目に授業を受けていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 251