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翌日、真島は昼休みに顔を見せなかった。
さすがに俺と合わせる顔がないか。
まあそれでも次の日には来るだろう、と思ったらまたこなかった。
このまま来ないならいちいち別れ話をしなくて済むし、自然消滅という一番楽な方法で終わる。
だが正直そうはならないだろうなと確信していた。
あの真島が俺をそのまま手放したりなんかしないだろう、という謎の自信がついていた。
そんな自信いらん。
だがもうすぐ夏休みになる。
終業式も近くなってきたし、あいつは一体どうする気なんだろう。
そんなことを頭の片隅で思っていた三日目の昼。
クスクスと楽しそうに噂する女子の声が耳に入ってきた。
「真島くん、また変な行動してるね」
「ほんとー。ここ最近ずっとだよね。なんかワンちゃんみたいで可愛いんだけど」
「わかる。野良犬王子」
なんだそれは。あいつの変な行動なんて、俺が絡んでいるとしか思えない。
そう思い女子に話を聞いてみれば、どうやら三日前から真島は昼休みや放課後になるとこの教室近くをウロウロしているんだとか。
おい。思いっきり俺に話しかけようか迷ってて挫折してんじゃねーか。
ここ三日間くらいは真島もこないし、他の友だちと絡んでたから全く気付かなかった。
え、ちょっとまて。
てことはアイツちゃんと毎日弁当作ってきてんじゃねーか。
勿体ねえ。
だがその翌日も真島は顔を見せなかった。
仕方ないので、俺は真島の教室まで行ってみることにした。
せっかく弁当作ってきてんのに、食わないとか勿体無さすぎる。
特進科の教室は同じ階の一番端で、なにも遠い距離じゃない。
しかも2クラスしかないから、真島の教室がどっちか覗けばすぐにわかるはずだ。
同じ廊下だったはずだが、明らかに特進科の教室まで行くと雰囲気が変わる。
いつだってバカ騒ぎする声が聞こえる普通科の教室前と違って、静かだし昼休み中も勉強している姿が目立つ。
なんだろう、このものすごい場違い感。
「うわ、テメエ何しにきやがった。こっちくんな。入国禁止」
ちょうど教室からでてきた貞男とかち合う。
開口一番それかよ。
そしてここは海外だったのか。
だがこの辺境の地で見知った存在を見つけると、どんな腹立つヤツでも親近感が湧く。
「真島に会いに来たんだけど」
「は?ふざけんなよ。今頃になって奏志の機嫌とりにきたのかよ。いいからさっさと別れろ」
「別れてやるから真島だせよ」
そう言ったら、貞男は目を丸くする。
いい反応だな。
「え…っと…わ、わかった」
だがどこか貞男は酷く動揺したような表情だった。
教室に戻ろうと扉に手を掛けるが、少し躊躇して再び俺を見る。
「…その、頼むから。お願いだから、あんまり傷つけないような別れ方をしてやってくれ」
そう言った貞男の表情は、いつもの俺を蔑むような視線とは全く違っていた。
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