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それなら放っておくかとリビングに戻ったが、鬱陶しいほどずっとぎこちないままだった。
俺に気付かれないようにと必死な姿勢は認めるが、嘘が下手すぎる。
今日はアイスもないし、どう機嫌取ってやるかなと考えてから、アホらしくなってやめた。
なんで俺が真島の機嫌を取る必要がある。
マンションの下まで降りて、真島を送る。
そのうち直るだろうと思ったが結局あいつはずっとビクビクしたままだった。
いつも通り「じゃーな」と言って戻ろうとしたが、なんとなく気持ち悪さを感じて首を擦る。
「…次いつ来る?」
「――えっ?」
今までに俺から次の約束を持ちかけたことは一度もない。
特に深い意味はなかったが何気なく聞いたら、真島は感極まったようにぶるっと身体を震わせた。
さっきまでの辛気臭い顔が見事に消えている。
「…た、高瀬くんが呼んでくれるなら、いつでも」
「だってお前部活あるだろ」
「その、部活終わってからでも大丈夫だし…会えるなら俺は毎日だって会いたいから」
興奮したように首まで真っ赤にして必死に告げる真島の言葉に、俺は自然と表情が緩む。
ああ、そうだ。好かれるって、やっぱりこういうことだよな。
一発で分かるその表情に、なぜだか無意識にホッとする。
俺はテンション上がりまくってまた鼻血出しそうなその鼻を、ぎゅっと悪戯につまんでから「じゃあまた明日」と言ってマンションへ戻った。
部屋に戻り、風呂に入ろうと服を脱ぐ。
それにしても真島の様子がおかしかったのは何でだったんだろう。
俺の隣に立ってから、突然様子がおかしくなった。
バサリとシャツを脱いで洗濯機に突っ込もうとしたら、ふと甘い香りがした。
「あ、これか」
仁美ちゃんの香水の香り。
どう考えても男が付けることはない甘ったるい香りだ。
一日一緒にいたせいで香りが移っていたらしい。
犬みたいなやつだからきっとそれに気付いて、別れられるんじゃないかと危惧したんだろう。
確証はないが、真島のことだからきっとそうだろうと真島エスパーを発揮していたが、確かに仁美ちゃんと付き合うなら真島とは別れることになる。
仁美ちゃんは夏祭りに返事を聞かせて欲しいと言っていたし、付き合うなら真島との関係もいよいよ夏祭りまでか。
「…情ってこえーな」
不思議なことに俺は仁美ちゃんと付き合う気はあるが、真島と別れる気もなかった。
だからといって二股をする気もないが。
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