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気付けば昼だったらしく、手が折れると騒ぐヒビヤンを放っておいて俺達は屋上へ向かう。
真島は俺の髪の毛をやたら触ってきて、嫉妬全開だった。
学校で必要以上に触るなと言ったはずだが、真島にとってどうやら今は必要な時らしい。
というか先輩からの嫌がらせはかわせるのに、ヒビヤンはダメなのかよ。
「そういやお前演劇って何やんの?」
ピーマンの肉詰めを口に運びながら、何気なく聞いてみる。
どうせ一日監視役だし、暇だったら見に行ってみるのもアリかもしれない。
体育館とか薄暗いから寝れそうだし。
「ロミオとジュリエットだよ。ちゃんとできるかまだ不安なんだけど…」
真島を映えさせるための舞台だから当然っちゃ当然だが、コテコテの恋愛物だ。
まあまず間違いなく真島はロミオ役だろう。
とすると、ジュリエットを勝ち取った幸運女子が周りの嫉妬でいじめられないか心配だ。
完全に余計な心配をしていたら、真島はぐっと拳を握ってどこか緊張した面持ちで俺を見た。
三ヶ月も一緒にいるくせに、いまだにコイツは俺に緊張するようなことがあるのか。
「た、高瀬くんは…一日実行委員の監視役なんだっけ」
「そう。貞男は演劇出るからって他の仕事に回されてたけど」
「…そっか」
しょんぼりと肩を落とす真島は、たぶん文化祭一緒に回ろうと誘うつもりだったんだろう。
だが真島と文化祭の人混みの中を回れるビジョンなんか、正直全く見えない。
絶対女子共にきゃーきゃー言われて足止め食らって、俺が手持ち無沙汰になる図が目に見えている。
「こ、後夜祭はどうかなっ。その、少しでも文化祭一緒に楽しみたくて…」
どうやら真島はまだ諦めていないらしい。
後夜祭は文化祭終了後の打ち上げみたいなもんで、定番のキャンプファイヤーがあって、共学ならではの告白タイムみたいな流れがある。
それこそ真島が注目の的になりそうな一大イベントで、ぶっちゃけ心の底から関わりたくない。
だがそれまで断ったら、コイツのテンションがガタ落ちするのはもう目に見えている。
「そうだな…じゃあ俺の事見つけられたらいいよ」
少し意地悪かなとも思ったが、これなら断ってもいないし見つけられないなら自己責任だ。
なんて保身に走っていたが、真島は俺の心境なんか相変わらず分かっていない笑顔で「絶対に見つけるね」と至極嬉しそうに微笑んだ。
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