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理由は分かっている。
そう、分かっているんだ。
「――っ」
昼休みの屋上。
がっつくようなキスをされていたが、不意にガバっと真島に身体を離される。
真島は肩で息をしながら、顔を俯かせていた。
表情は見えないが耳まで真っ赤にさせているので、何か嫌だったとかではない。
いや、まあ理由は分かっている。
「…あー、別に気にしねーから」
少し目を逸らしてそう言ったら、真島はガバっと顔を上げた。
案の定その顔は真っ赤だ。
「き、気付いてたのっ?」
「気付くわ。男だから当たり前だろ」
「う…」
まあ何があったかというと、つまるところ勃ったわけだ。
男だしそこは当然の生理現象だから仕方ない。
そもそも好きな奴とこれだけキスして、思春期真っ盛りな高校生男子が勃たないはずがない。
「だ、大丈夫。何もしないから…っ」
だが真島はこれだけ付き合っているというのに、絶対にキス以上のことはしてこない。
それは間違いなく、俺の気持ちが自分にないと思っているからだ。
俺が恋愛感情を持っているのはあくまで女の子だから、それだけはしてはいけないと思ってる。
本人に聞いたわけじゃないが、どうせそんなところだろう。
正直俺の方はどうなのかと言うと、まだ心がそこまで追い付いていなかった。
本当に好きな奴とのキスは思いの外気持ち良くて、それだけで頭がいっぱいいっぱいだった。
女の子相手だったら2秒で勃ってた気がしたんだが、俺はとうとう使い物にならなくなったか。
というかそもそも男同士でヤる、という発想に目を瞑っていたのもある。
「別に何してもいいよ。お前の好きにしていいって言っただろ」
それでも腹は括っていて、真島がしたいというなら断ったりはしない。
正直今の台詞は、自分的には人生の中でベスト2には入るほど勇気のいった台詞だ。
当たり前だが俺に男同士の経験はない。あってたまるか。
平然と真島に言ってのけたが、内心ではかなりビビっていた。
けど真島になら何されてもいいという気持ちはあった。
俺の中では一世一代の告白レベルの台詞だったが、真島は俺の勇気とは反対に、ふにゃりとしたいつも通り締まりのない笑顔を作る。
俺の頭を緩やかに撫でて、ちゅっと頬にキスを落とした。
「そんな風に言ってくれるだけで十分だよ。…高瀬くんが俺を好きになってくれるまで、絶対に手を出さないからね。安心してね」
コイツの中では、キスは手を出していないということになっているらしい。
「北海道だな。ラーメン食う」
「いや、沖縄だろ。水着見る」
俺とヒビヤンの意見がここに来て対立した。
俺は北海道で美味いモンを食いたい。沖縄にも美味いモンはたくさんあるだろうが、ゴーヤ食えないし。
沖縄=ゴーヤとか発想が陳腐すぎるが、正直行ったこと無いから知識がない。
「高瀬なら絶対海のある沖縄選んでただろ…お前真島にどんだけ毒されちまったんだよ…」
ヒビヤンが絶望的な顔で俺を見てくる。
正直そこは同感だ。もっと俺を哀れんでくれ。
さて何の話をしているのかというと、来月後半にある修学旅行の話だった。
修学旅行とかいよいよ三年の一大イベントの一つに差し迫ってしまった感はある。
行き先は北海道、沖縄、京都と三択で、一番票数の多かったものが選ばれる。
投票自体はもう大分昔に終わっていて、今日はその結果をHRで知らされることになっていた。
「つーかヒビヤンは彼女いんだから、水着なんか夏休みの時に見せてもらえよ」
「ああ、別れた」
「えっ」
衝撃的な発言を聞いたところで、担任が教室へ入ってきた。
そして行き先は京都だった。
どっちも外してんじゃねーか。
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