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今日が最終日の修学旅行四日目。
本日の予定は全員同じ場所とはいえ、俺は楽しみな場所の一つでもあった。
俺とヒビヤンはバスを降りると、その夢ある外観の全貌を目にしておー、と二人で声をあげる。
「正直寺よりこういう場所のがテンションあがるわ」
「分かる。とりあえず高瀬、絶叫系は制覇しようぜ」
「よし来た」
来た場所は関西名所の某大型遊園地。
とはいえ自由行動時と同じメンバーで動くと決まっていて、俺達は勝手にルートを立てて班員を先導する。
「つーかお前、今日こそ真島と回ればよくね。遊園地とか絶好のデートスポットだろ」
「はぁ?遊園地なんかみんなで騒いだほうが絶対楽しいだろが。それにアイツお守りしないといけない奴いるし」
「オモリ?なんだそら」
ヒビヤンと話しながらジェットコースターの行列に並ぶ。
確かにヒビヤンの言う通り、真島と遊園地を回ったらきっと楽しいだろう。
だがこんな閉鎖的な空間で目立つ真島と二人で行動とか、そんな公開抜け出しは速攻でバレる。
バレるついでに俺と真島の夫婦ネタでおさまってる関係が、本格的に周りに疑われ始めそうだ。
「あ、そういやお前真島に写真送っただろ」
昨日の真島との話を思いだして、ちらりと横に並ぶヒビヤンを見遣る。
「ああ、バレた?高瀬と一緒にいるとこ自慢したろーかなって」
そう言って隣の友人はニシシと安定の含み笑いをする。
まあヒビヤンなら、そう言うと思ってた。
正直直接ヒビヤンが真島に行けと言ったわけではないし、今言っているように単純に真島に自慢して楽しみたかっただけかもしれない。
真島じゃないから表情には出ないし、本当のところは分からない。
それでもヒビヤンの行動がなかったら、間違いなく俺と真島はまだ喧嘩したままだっただろう。
「あー…えっとさ」
だから、お礼を言おうと思った。
なんつーか、改めて言うのはかなり照れくさいが。
「なんだよ。気持ちわりーな」
真面目に言おうと思ったのに茶化してくるから、ありがとう、と言おうとした言葉が喉に詰まる。
この野郎。たまにはちゃんと言わせろ。
だがなんだかヒビヤン相手に真面目になってるのもアホらしくなってきて、 俺は力を抜くとバシッとヒビヤンの背中を叩いた。
「お前はよくやった。昼飯奢ってやる」
「上司かよ」
ぶっきら棒な言い方だったが、これでいい。
コイツは真島と違って鋭い奴だから、きっと俺の言いたいことはちゃんと分かってくれてるだろう。
ジェットコースターを降りて、班員と感想を言い合ってたら視界の隅に死体が見えた。
ん?と思って二度見したら、グロッキーになった貞男だった。
どうやら今しがたジェットコースターに乗ってきたところらしい。
相変わらず貞男は遊園地ダメらしく、その顔はゲッソリとしている。
てっきり真島がお守りしていると思ったが、どうやらその姿は見えない。
とりあえず一度目に留めてから、フイと視線を逸らした。
見なかったことにしよう。
「おい、待てよ。最低ビビリ野郎コラ」
バレてた。
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