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真島に押し切られる形で、その日から毎朝一緒に登校することになった。
よく考えたら登校時間は同じだし、元々家もひと駅分の距離だ。
今は部活も終わって朝練もないし、待ち合わせて一緒に行くことは別に悪くない。
真島は家まで迎えに行くとかまたバカホゴな事言い出したから、さすがに時間の無駄だと駅で待ち合わせることにした。
何だかんだ言いつつも、真島と一緒にいる時間が増えて正直嬉しかった。
「傷…まだ治らないね」
「そんなすぐ治るわけねーだろ」
毎朝俺を見て痛々しそうに心臓を抑える真島は、いつになっても変わらない。
「…そういえばね、ユキも転んだって言って顔に大怪我作ってきたんだよ。さすがにその位置で転んだなんて事はありえないから、何があったのか聞いたんだけど…」
「お前ってある意味すげーやつだな」
「え?」
貞男はちゃんとツッコミ出来るのに俺の言葉はすんなり信じるとか。
というか貞男と言い訳被ってんじゃねーか。
真島の見事なまでの盲目っぷりには呆れを通り越して逆に感心する。
「それよりお前さ、今年の文化祭は何やんの」
「ん、俺監視役だから一日見回りだよ。去年の高瀬くんと同じだね」
「そっか。じゃあ暇だな」
「えっ?監視役だよ?」
クソ真面目か。
キョトンとする真島に、俺はニッと笑顔を向ける。
「一日一緒に遊べるな」
「――えっ?うん!遊ぶっ」
あっという間に仕事をサボる宣言した真島が、俺の言葉に爛々と目を輝かせる。
去年、文化祭を真島と回らなかったことを後悔した。
どうせ真島は女子に囲まれまくるんだろうが、それでも置き去りにされようが待ち呆ける事になろうが、後悔はしたくない。
高校最後の文化祭を、真島と過ごしたい。
周りの奴に何があったと顔を茶化されながら日々は過ぎていき、文化祭当日となる。
今年俺のクラスの出し物はパンケーキをメインとした、完全に女子呼び込み用のスイーツ喫茶だ。
受験シーズンということもあって、あまり凝りすぎて文化祭が負担にならないようにと考えた結果、ならば客で女子を呼び込もうぜと言うヒビヤンの案にクラスの男が乗っかった。
そんなわけで今年用意したのはお揃いのクラスTシャツくらいのもんだ。
「今年は真島と回るんだろ?」
「おー」
「去年しょげてたもんなーお前」
「はぁ?」
ククと喉奥でヒビヤンが笑いを噛み殺す。
そうだったかなと思い返してみるが、ヒビヤンの前でそんな態度をとった覚えはない。
視線を持ち上げて考えていたら、スッと横から手が頬に伸びてきた。
「ちっとはマシになったな」
「まだちょっと痛いけどな」
「あれから結城とは会ってねーの?」
「まったく」
あの喧嘩から数日、顔の怪我は大きめの傷バン一つ貼る程度でもう収まっていた。
貞男にはあれ以来会ってないから、アイツが今どういう状況なのか、何を思っているのかはまったく分からない。
俺から会いに行くつもりもないし。
ちなみに七海には余計なこと真島に言うんじゃねーぞ、とメッセでしっかり釘を刺しておいた。
ヒビヤンは朝の設営を少し手伝ってから、実行委員の仕事へと向かっていった。
俺は午前中店番を任されているから、それが終わったら真島と合流する予定になっている。
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