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カーッと耳まで熱くなるのを感じた。
え、今コイツ俺の名前呼んだ?
呆然と見返したら、たぶん俺と同じくらい赤い顔で俺を見上げる真島の顔があった。
言ってから物凄く照れてるって顔だ。
そんな顔されたら、余計にこっちまでゾワゾワとむず痒くなる。
「い…今なんて言った?もう一度聞きたい」
「えっ」
このタイミングでもう一度言えとか俺もどうかしてるが、あまりに一瞬すぎて実感がない。
「…だ、大好きだよ」
「おい、照れるな」
「う…うめ…っ」
モゴモゴ真っ赤な顔で言い淀む。
さっきの勢いはどうした。
真島は俺の視線に耐えられなくなったのか、限界だとばかりに俺の腰にまたへばり付く。
「はぁ…もう好きすぎてまたすぐには名前呼べないよ…。高瀬くん、意地悪しないで…っ」
「なんだそれ」
思わず今しがたの苦しさも忘れて、笑ってしまった。
コイツ変に強気なところもあるくせに、なんでこう最後まで締まらないんだろう。
「…あ、笑ってくれた」
「いやこんなん笑うわ」
ククと噛み締めて笑っていると、真島もニヘラと嬉しそうに笑う。
「良かった。高瀬くんが笑ってくれると、すごく幸せな気持ちになれるよ」
「じゃあ残りの時間はたくさん笑わせてくれよ。それならお前も幸せなんだろ」
「うん。俺頑張るね。いっぱい頑張るよ」
そう言って真島は立ち上がると、俺に手を差し出す。
ためらわずにその手を取って立ち上がる。
一体どこへ連れて行ってくれるのかと思ったら、そのまま手を引かれて思いっきり抱き締められた。
「――おい」
かなり痛い。
これまたいつもより力いっぱい抱き締められて、もう完全に足が浮いている。
コイツ俺をぬいぐるみか何かと勘違いしてんじゃねーだろうな。
真島は力いっぱい俺を堪能するように抱き締めながら、頬を擦り寄せる。
「大好き。梅乃くん、大好き」
「……っ」
思わず言葉を詰まらせる。
堪らなくドキドキして、死ぬほどくすぐったい。
頭を抱えたくなりそうなこっ恥ずかしさだ。
それでもまた、呼んで欲しいと思ってしまう。
「ど、どうしよう…二回も呼んじゃった…」
「…ほんとお前って」
真島は自分の言葉に自分で衝撃を受けたように、俺に凭れ掛かってゼーハー脱力している。
ついまた笑ってしまう。
名前呼ぶのにどんだけ体力使ってんだ。
真島は息を整えてから、ゆっくりと俺を離す。
なんだか俺にどうしようもなく伝えたい言葉がたくさんありそうだったが、それを俺にぶつけることはしてこなかった。
モゴモゴする口を閉じて代わりに一言、俺を見つめて言った。
「まずは俺、泣き虫をやめるね」
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