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12月に入る。
あっという間に寒くなって、朝布団から出るのが辛くなるこの時期。
いつもより少し早くセットした目覚ましを止めると、眠い目を擦りながらスマホを見る。
スマホにはまだ何も来てない。
俺は真島に『おはよう』とメッセを送った。
安定の一瞬で付く既読マーク。
アイツは弁当作ってるし、俺の家より学校までの距離も少し遠いから俺より断然早起きだろう。
それでも俺の起きる時間に合わせていつもメッセを送ってくる。
だが今度からは先に送ってやろうと思ったわけだ。
今頃大喜びしてるかなと想像して顔をニヤつかせてたら、電話が掛かってきた。
『どっ、どうしたの。何があったの』
なぜか心配をされた。
どうやらいつもと違うことをすると余計にストレス掛けてしまうらしい。
「うーん、なんかねーかなあ」
「だから黙って服脱いどけ」
「ヒビヤンまでそれかよ」
もうぶっちゃけ脱いだろうかなとも思ったが、服脱いだところでアイツは両想いじゃないとそういう行為はしたらいけないとか思ってるクソ真面目な奴だ。
そもそもそんな時間すら今はない。
昼休みもたまにしか合わないし、休みの日も学校行ったり塾へ行ったり、家でもずっと勉強してるみたいだ。
それでも唯一朝の登校時間だけは、毎日変わらず二人の時間を取れた。
真島は必ず俺より先に改札まで降りて待っているから、今日こそは俺が先に行って待っていてやろうと早く出たのに、いつも負ける。
その翌日こそはと更に早く行くが、なぜか負ける。
アイツ一体何時から俺を待ってるんだ。
挙句の果てに俺が早く行くことに何か悩み事があるのかと心配された。
また余計な心配をかけてしまったと、朝の満員電車に揺られながら顔に出さないように思い悩む。
そしてどさくさに紛れてさりげなく俺の身体を撫で回してくる真島は、ぶっちゃけ一步間違えたら痴漢と大差ない。
「お前ただでさえ人目につくんだから、バレないように気をつけろよ」
「う…背が高いと不便だなあ」
そういう意味じゃないし不便とかいう問題でもないんだが、真島はどこか物足りなそうな顔をする。
そんな顔されても、受験のせいでデートに誘う事だって出来ない。
「…あ、そうだ。お前授業いつも何時に終わるんだ?たまにはどっかで時間潰して待っててやろうか」
どうせ暇だし真島が帰る時間までゲーセンで時間潰しといて、駅から一緒に帰るとか。
それなら真島も全く負担にならないし、少しでも一緒の時間が増えて喜ぶだろう。
「えっ!絶対にダメだよ。今暗くなるの早いから、どこかで時間潰してるなんて危ないよ」
「別に俺男だしバイトの時は遅い時間なってるから大丈夫だけど」
「それはお仕事だから仕方ないけど…でも俺のことなんかで高瀬くんに無理をさせて、もしものことがあったらと思うと…」
そう言って青い顔をするから、慌てて分かったやらないと訂正する。
この案もだめか。
うまくいかないなと、俺はガシガシと髪をかく。
何か受験勉強について言葉で応援してやろうかとも思ったが、もう充分すぎるほど頑張ってる奴に、頑張れよと今遊び呆けてる俺が言うのもアレだ。
そんなわけで気の利いた言葉の一つも掛けてやれない。
放課後は俺から顔を見に行ってやったが、何があったのとまた心配された。
たまにあった昼休みには甘いものが好きな真島のために購買でアップルパイ買っていってやったが、なぜか何かしたかなと謝られる。
どうやら俺が真島のために無償で何かをすると、心配するように真島の中で組み込まれているらしい。
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