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番外編『卒業式を終えて』
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話は卒業式翌日から始まる。
昨日はもう思い返しても恥ずかしくなるほど真島に甘えに甘えて、今まで我慢していたものが堰を切ったように俺はどうしようもなく泣きながらグズグズだった。
真島はそれを全部受け止めて、それどころか足りないというくらい俺に愛の言葉を囁いて、もう無理だって言っても俺が完全に腰抜けになるまで執拗に愛された。
アイツは俺を愛し殺そうとしているんだろうか。
「おはよう、高瀬くん」
「おー…」
俺の家の合鍵を持ってる真島はここ最近勝手に来て、勝手に色々やっている。
カーテンをシャッと明けられて、思わず枕に顔を埋める。
日差しが眩しい。
「今日もすごくいいお天気だよ。今ね、猫さんにご飯をあげてね、洗濯して朝ごはん作ってね…」
「…んー。良かったな」
やたら朝から嬉しそうだ。
俺はまだ布団から出れず、真島にテキトーに返事をしながらうつ伏せになってまた寝る。
と、ベッドがギシリと沈み込む。
真島がどうやら乗り上げてきたらしい。
「高瀬くん、大好き。今日も大好きだよ」
「…眠い」
「そうだね。いっぱい寝てね」
真島は布団にくるまる俺をそれごと抱きしめて、俺の髪の毛に顔を埋める。
暖かい温もりが堪らなく心地よくて、一人じゃないんだと知る。
眠れなくて孤独に震えるんだろうと覚悟していた夜はこなかった。
卒業式前日に寝れていないことや、泣き疲れていた事もあって昨日は本当に爆睡してしまった。
優しく抱きしめてくれる温もりを噛み締めながらもう一眠りしようかと思ったところで、やたら荒い息遣いを首筋に感じた。
安定のスーハー言っている。
気が散って寝れねーんだが。
「はぁ、可愛い。堪らない…高瀬くん、高瀬くんっ」
「おい」
変態かコイツは。
なんかスイッチ入ったのかやたら頬擦りされる。
腰に思いっきり硬いモンが当たってるんだが。
今日も朝から元気かよ。
思わずバサリと布団をはがして起き上がる。
こんな状況でいっぱい寝ろとか、無茶ぶりにも程がある。
起き上がったら待ち望んでいたように「おはよう」ともう一度言われて抱き締められ、寝起きでボケっとしてたらなんか勝手に身支度が終わって、手を引っ張られて洗面所へ連れてかれた。
「いい。全部出来るから」
「うん。朝ごはんも出来てるからね」
「…おー」
いつも通り返事をしてシャコシャコと歯を磨きながら、ぼけっと鏡を見る。
なんか若干目が腫れているような。
それでようやく俺も実感してくる。
昨日のことが、全部夢じゃなかったこと。
真島と一緒にいると選んだこと。
バシャッと冷たい水で顔を洗う。
ようやく覚醒した頭で鏡を見て、自分のやるべきことを思い出した。
そうだ、俺は真島をドロッドロのグッダグダに喜ばせて腰抜けにさせてやろうと思ってたんだ。
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