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「奏志」
リビングに行ってその名前を読んだら、真島はキャッと言って両手で顔を覆ってへたり込む。
女子かよ。
というか腰砕けんの早すぎだろ。
「…待って。待って、心臓が持たないよ。もう俺無理」
「ああそう?なんか名前で呼ぶの慣れないから気持ちわりーな」
「待って…はぁ、心臓痛い。待って」
胸に手を当てて噛み締めている横を通り過ぎて、用意してくれた朝食を食う。
ちらりと視線を向けたら、真っ赤な顔でまだ嬉しそうにぷるぷるしていた。
真島、真島と呼んできたが、これからはちゃんと付き合うことにしたわけだし、俺も呼び方を改めることからしようと思ったわけだ。
そんなわけで飯を食い終わるまでずっと幸せそうに腰砕けになったままの奏志に、ガスっと一度蹴りをくれて正気に戻してやる。
「ボケっとしてんじゃねーよ。お揃い買いに行くんだろ」
「い、行きます…!」
俺に蹴られた痛みすら愛しいと言わんばかりに、もうずっと締まりのない顔で奏志は笑う。
本当に幸せそうだ。
今日の予定は二人で新たなお揃いの物を買いに行こうと予定していた。
つまるところデートだ。
相変わらず注目されまくってるイケメンと一緒にウィンドウショッピングをしたり、飯を食ったりと中々楽しい時間を過ごす。
もうコイツと一緒に注目されることには俺も慣れた。
二人で相談して買ったのは結局ミサンガで、俺達は今度こそちゃんとお互いの願いを合わせよう、と笑い合う。
「俺がちゃんと就職したら、お前に指輪でもなんでも買ってやるよ」
「指輪…っ。あ、ああでもそれはっ…俺もいつかちゃんと働いた時にプレゼントしたいって――」
「お前エリートコース確定だからすげーモンくれそうだな」
それじゃ楽しみにしてるわ、とニヒヒと悪戯に笑ってやったら、呆然と立ち尽くしたままなんか感動している。
奏志は一体どんなすごい奴になるんだろうか。
初めて会った時からもう充分すごい奴だったのに、これでもかと言うほどそれ以上のすごい奴になっていく。
コイツの将来が楽しみではあるが、そう思えば思うほどやっぱり自分でよかったんだろうか、なんて思いが拭えない。
とはいえそんな疑問はもう散々自分の中で考えてきて、それでも最終的に俺は奏志を信じることにしたんだが。
「…高瀬くん、な、何か思うことがあったら絶対言ってね。ちゃんと相談してね」
不意に顔を覗き込まれる。
俺の顔をずっと見ているような奴だから、何か察したんだろうか。
ふ、と表情を緩ませると、誰が見ても綺麗なその顔に人差し指を向ける。
そのままぶにっと唇に押し付けてやった。
「名前で呼べって言っただろ。いい加減慣れろよな」
「わっ…あっ、う…梅乃く…」
シュー、と顔から湯気が立ちそうな勢いで奏志が赤い顔を俯かせる。
俺はその反応に満足気に顔を綻ばせる。
可愛い。
もっとからかいたい。
もっとコイツを喜ばせてやりたい。
嬉しいと笑う顔が見たい。
「はぁ…もう俺ダメかもしれない。幸せすぎて溶けちゃいそう」
胸に手を当てて、なんか必死に深呼吸している。
それにしても今日のコイツはずっと浮足立っていた。
というか浮足立ちすぎて興奮している。
もはやずっと鼻息荒い。
人の顔見て事あるごとにハアハア言っている。
なんというか、アレだ。
色々と考えていることが顔に出まくっている。
物凄く分かりやすい。
「おい、そんな顔しなくてもあとでセックスさせてやるから」
「――えっ!?ち、違うっ!そ、そんな変なこと考えてるわけじゃなくて…これはそのっ」
「じゃしなくていいん…」
「します」
食い気味で答えが返ってきた。
やっぱしたいんじゃねーか。
「あっ…ご、ごめん。その…もう触りたくてたまらなくて…っずっと」
「分かってるよ」
「こ、怖いことしないからね。しないけど…えっと」
「いいよ。お前の気が済むまで付き合ってやるから」
「……っ」
ゴクリ、と奏志の喉が上下する。
コイツ今からこんなんで大丈夫なんだろうか。
というかこんな街中で大興奮されてるのに、家に帰ったら一体どんな目にあうのか若干怖いんだが。
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