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風呂に入って食えずに残ってしまった夕飯をつまんだ後、奏志を背にしてぐったりともたれ掛かる。
「あー苦しい。太る」
「梅乃くんがいっぱい増えてくれたほうが俺は嬉しいよ」
ニコニコと上機嫌に微笑みながら、髪の毛をドライヤーで乾かされる。
相変わらずコイツは俺を体積で判断しているらしい。
だがツッコミをいれる余裕もなく、暖かさと満腹感と仕事疲れとで眠くなってしまう。
「梅乃くん、今日はお仕事どうだったかな?」
「んー…」
優しい指先を頭に感じながら、俺はぼんやりと今日あった出来事を辿々しく話す。
眠くて要領を得ない俺の話を楽しそうに聞く奏志の声が、耳に心地良い。
しばらくの後ふわりとした浮遊感を感じて、ベッドまで運ばれているんだと遠のく意識の中で気付いた。
うっすらと目を開けたらトントンと赤ん坊を寝かしつけるように優しく背中を叩かれる。
こんなんじゃしてもらってばっかりで、俺は本気で何もしてやってない。
どっかで挽回しねーと、なんて思いながらも俺は眠りに落ちていった。
結局朝が来ればまた一日仕事に行って、奏志に全然構ってやれないままアイツも大学が始まってしまった。
さすがに大学が始まればそれなりに忙しいらしく、今までのように俺の家に毎日来ることも無くなる。
それでも電話は毎日欠かさず掛かってきた。
「え、バイトすんの?お前が?」
『ええ、おかしいかなあ。何か運動もしたいからサークルか部活にも入ろうとは思ってるんだけどね、それだけだと時間も余るし』
「へー、何かってバスケじゃねーの?格好良かったじゃん」
『ほ、ほんと?元々スポーツなら何でも良かったから。梅乃くんがバスケがいいならそうするよ』
「俺は…」
何もやってほしくねーな。
どうせどこ行っても何やってもアイツならなんでもこなしてキャーキャー騒がれて女子に取り囲まれるんだろうなと思ったら、それは勿論面白くない。
しかも俺が教えてやったせいで、アイツは今自分がモテる事を分かっているはずだ。
自分が好かれていると知ったら、それこそ女のほうがいいと思うんじゃないか。
『…梅乃くん?』
どこか不安げな奏志の声が聞こえて、ハッとする。
俺はアホか。
つまらん嫉妬心でコイツの大学生活邪魔してどうする。
「お前が好きなことやればいいんじゃねーの」
『お、俺の好きなことは梅乃くんだけだから…』
電話越しに真面目な声でそう返ってきた。
コイツは変わらない。
変に不安になる必要なんかない。
それでも俺は社会人でコイツは学生で、少しずつすれ違っていってしまうんじゃないかと思う気持ちが拭えない。
「…まあせっかく大学生なんだから色々楽しめよ。でも予定詰め込みすぎて俺との時間ないとか言ったら、二度とエロいことさせねーからな」
『ええっ!?絶対やだっ。俺は梅乃くんとの時間が一番大事だから、大丈夫だよ』
後半良いこと言ったっぽいが、前半本音丸出しじゃねーか。
まああんだけ一緒にいても飽きずに俺見て大興奮してる奴だから、とりあえず身体で釣っとけば大丈夫だろ。
男はエロいことには抗えない生き物だ。
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