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「梅乃くん分かる?一番奥まで一緒になってるよ」
「あっ…あ、い、言うな…っ」
「は…っすごく気持ちいい。ずっとこのままこうしてたいな…」
蕩けた視線でガン見してくる変態野郎はおいといて、必死に酸素を取り入れる。
もう思い切り俺の足を開かせて、ずっぷりと奥まで入り込んだそれが俺の呼気をひたすらに奪っていく。
さっきから大きくて腹ん中いっぱいに圧迫するそれに、ヒクヒクと内部が収縮を繰り返している。
「はぁ、梅乃くんの身体すごく気持ちいいって言ってるね」
「――っだ、だから言うな…あっ、ふあっ…」
「ごめんね、一度出させて。中にたくさん出すからね」
「中…って、おい…っ」
前回風呂場で精液を掻き出された事を思い出す。
めちゃくちゃ恥ずかしかった記憶があって、アレをまたされるのかと思うと居た堪れない。
だが抵抗する間もなく狙ったように良いところを突き動かされ、俺の方まで一気に頭が真っ白になっていく。
キスをされ、きつく舌を絡め取られる。
夢中になってそれを受け入れると、程なくしてドクドクと俺の中に放たれる、痺れるような甘い感覚。
何だかんだ言っても好きな奴と身体を重ねるのは、脳を蕩けさせるような快感があってグズグズに飲み込まれてしまう。
そのまますぐにまた腰を動かされて、汗だくになりながら何度も身体を重ねた。
本能のまま無心でお互いを求めて、時間も忘れて身体を貪りあった。
「…もう無理。本気で無理。なんも出ねえ」
「大丈夫だよ。またすぐ気持ちよくなれるよ」
「うるせー絶倫野郎」
まだ飽き足らず人の体を求めてきたから、堪らずゲシっとその身体を蹴って抵抗する。
コイツに最後まで付き合ってたら殺される。
もうすぐにでも落ちそうな目蓋と、身体に重く伸し掛かる倦怠感がやばい。
賢者タイムとは一体なんだろうというレベルで、コイツはずっとバーサーカーモードだ。
ようやくぐったりとした俺の様子に気づいたらしく、慌てて後処理をするとすぐに風呂を張ってくれた。
もう何もする気になれず全てをコイツに任せてみたら、それはもう懇切丁寧に風呂に入れてくれて幸せそうに俺の世話をしていた。
やっぱり自分で出来ることはちゃんと自分でしないと、マジでダメ人間にされる。
「…あのさ」
「ん?」
入浴後、髪を乾かされながらぼんやりと口を開く。
疲労感と暖かさでウトウトしながら、背中に感じる体温に心が安らいでいく。
「変にため込む前にこれからはちゃんと言えよ。お前は我慢するとロクな事にならねーし…」
「――あ、えっと…」
これは前からだが、コイツは我慢させるとあとで三倍増しくらいになって色々返ってくる。
勝手に一人で考えさせるとマジでいいことがない。
「き、嫌われたくないんだ。大好きだから…」
「嫌わないし、言ってもらえないほうがこっちも傷つく」
「――えっ」
少し驚いたように奏志が俺の顔を覗き込んできた。
やっぱり分かってないって顔だ。
「これから不安なことは一緒に相談していこうって言ったのお前だろ」
「…あ」
思い出したのかハッとしたように口を噤む。
それから奏志は社会人に俺がなって、自分が知らない生活をしていることが寂しかったこと、お互い新生活になってすれ違わないか不安だったこと。
ともかくどうしようもないほど俺が大好きなんだってこと。
辿々しい口調で赤くなりながら、全部教えてくれた。
「う、梅乃くんも言わないとダメだよ」
「――え、俺は…」
言わなくても別にお前みたいな暴走はしねーけど。
とはいえ俺も変に我慢して言わなかったから、コイツを不安にさせたのかもしれない。
「…うん。ごめん。これからは気をつける」
「…あっ、やっぱり何か嫌だったんだよね?さ、最初に無理やりしたことかな…。それとも調子に乗っちゃって触りすぎたことかな…」
「いや全然違う」
きっぱり否定すると、他に自分がなにかしてしまったかなと真剣な顔で考え込む。
俺は奏志に向き直ると、少し言い淀むように視線を彷徨わせた。
こんな小さい事言いたくないんだが、コイツに変な勘違いをさせたままなのはまた良くない事に繋がる気がする。
「…何か言いづらいことなのかな。大丈夫だよ。全部教えてね」
俺の様子にドライヤーのスイッチを切って、奏志もしっかりと向き直る。
髪をゆるりと撫でながら「どんなことでもちゃんと真面目に聞くからね」と酷く優しい声音で言われた。
じわりと心が揺れて、それならと俺は口を開く。
「…お、お前大学で女にモテてんだろ」
「――えっ?そんなことないと思うけど…」
「女が何人も周りに集まってきてんだろ」
「えっと…確かに女の子にはよく話しかけられるけど。でもみんなサークルのこと教えてくれたり、お昼ご飯誘ってくれたりとかだから、親切にしてくれてるだけだよ」
「それを世間一般ではモテてるっつーんだよ」
やっぱりそうじゃねーか。
コイツの鈍感さにも、自分の想像通りだったことにもイラついてくる。
「お前が大学でどうしようと勝手だけどさ、香水の匂いさせてくるような奴に抱き締められたくねえって思っただけだよ」
「――えっ、噓」
「噓じゃねーよ。この間お前から知らない香水の匂いがして――おい」
真剣に聞こうとしているらしいが、めちゃくちゃその顔が緩んでいる。
どう見てもこれはゴメンナサイ、という顔ではなく嬉しいって顔だ。
むしろ大喜びだ。
どんなことでもちゃんと真面目に聞くんじゃねーのかよ。
「おいテメエ、笑ってんじゃねーよ」
「わ、笑ってないですっ…。は、反省してるよ」
「顔が笑ってんだよ」
「大丈夫だよ。もう一生女の子と話さないし近づかないからね」
「…いやそれは反省しすぎだろ。そこまでしなくていいけどさ」
コイツならマジでやりかねない。
目の前の顔は、必死に笑みを堪らえようとしているのか表情筋がプルプルと揺れている。
真っ赤になった顔が、もう飛び上がって大はしゃぎしたいのを耐えていると言った感じだ。
「…そんなに俺が嫉妬してんのが嬉しいのかよ」
「だ、だって梅乃くんが…っ。まさか、まさか俺に…っ」
言いながら、キャーッと両手で顔を覆っている。
女子かよ。
ああもうコイツ、ほんと腹立つ。
結局耐えきれずクッション抱えてゴロゴロ悶えている奏志をじとっと眺めながら、それでもコイツの不安が俺が思っていたのと同じだったことに、どこか安心している自分もいる。
新生活になってこれからたくさん時間はずれていくのかもしれないが、それでも互いに思っていることが一緒ならきっと大丈夫だろう。
「まだやってんのかよ変態野郎。いい加減怒るぞ」
「あっ、ご、ごめんなさい。って…へ、変態じゃない」
自覚症状がないことの方が不安かもしれない。
番外編『新生活』完
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