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「…マジかよ」
液晶に映されるLOSEの文字。
「すごいね。ユキゲーム上手いんだね」
「え、えっと…やったことないんだけどなあ」
ガックリと肩を落としている横で、取り繕うような猫撫で声が聞こえる。
やったことないわけあるか。
物凄いドライビングテクニックを見せつけておいて、おまけに新記録更新してんじゃねーか。
コイツ相当やりこんでいる。
「…しょうがねーな。何が望みなんだよ」
さすがにあのスーパーテクニックを見せられれば負けを認めるしか無く、潔く聞いてやる。
貞男はちらっと奏志の顔を見上げた。
どこか赤らんだ顔に、コイツの気持ちがまだ変わっていないことを知る。
まさかまた別れろとか言い出すんじゃねーだろうな。
「あ、あとで言う」
「…おー」
さすがにこんなゲームでそれはないと思うが、何か言いづらそうだ。
そして貞男を押しのけて、なぜか奏志が俺の隣に座る。
「か、勝てば梅乃くんに言うこと聞いてもらえるの?」
なんか鼻息荒くなっている奏志が俺を見ている。
なんでこいつらこんなに俺に勝負を挑みたいんだ。
さすがにゲームが下手な奏志に負けるわけがなく、あっさりと勝敗は決まった。
「梅乃くん上手いなあ」
「お前が弱すぎるんだよ。というか安全運転すぎだろ。レースゲームなんだから交通ルール守んな」
「だ、だって梅乃くんの車にぶつけちゃったら大変だよ」
「お前バカだろ」
液晶見ながら二人で言い合ってたら、後ろから視線を感じた。
「いやー仲良しですな」
含み笑いを浮かべたヒビヤンと、冷ややかに目を細める貞男の顔。
なんだかこの光景も久しぶりだ。
ゲーセンで時間を潰してから、飯でも食いに行くかと足を向ける。
ちょうど部活が終わったらしい七海が合流出来るらしく、学校近くのファミレスで待ち合わせした。
「高瀬せーんぱい!」
突然後ろからガバっと抱きしめられる。
コイツも変わんねーな。
「七海くん、それはダメだよ」
「あっ、真島先輩もお久しぶりですっ。相変わらずイケメンっすね。その他ゆかいな仲間たちもお久しぶりですっ」
「誰がゆかいな仲間たちだ」
奏志に引き剥がされた七海が、綺麗にハモったヒビヤンと貞男に責められている。
スポーツバックを引っさげた制服姿に、高校生活を思い出して懐かしい気持ちになる。
まだ卒業してから1ヶ月しか経ってないのに、思い出に浸るのは早すぎる。
「あれ、なんかお前背また伸びたんじゃね」
「成長期なんで。あっ、真島先輩とついに並びましたね」
ただでさえ奏志のせいで注目浴びているというのに、デカイ図体が二人になると更に目立つ。
ヒビヤンも高身長なほうだが、バスケ部二人はさすがの180越えだ。
ファミレスに入って、最近の近況やらを話しながら飯を食う。
このメンバーは夏休みの宿題以来だ。
「七海くん、バスケ部はどう?」
「真島先輩の後を継いで俺が今エースやってますよ。今度試合あるんで見に来て下さいよ。真島先輩来たらみんな喜びますよ」
「見たいなあ。梅乃くんと一緒に行くね」
なんで俺なんだ。
そこは元バスケ部員でも誘って行け。
「う…梅乃くんと一緒に行くね」
俺の返事がないから、ちらちらと視線を寄越されながらもう一度言われる。
なんだその内心ビクビクしながらもさりげなさを装いつつ誘ってみました、みたいな顔は。
そしてゲシゲシと貞男がさっきから俺の足を蹴ってくる。
「あーはいはい、俺も見に行くよ」
「わお、高瀬やさしー」
ヒビヤンは黙ってろ。
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