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一度軽く触れてから、自然と開いた唇に自ら舌を差し入れる。
熱い舌先を絡め取って、ゆっくりと優しいキスをする。
――が。
不意にガッと力強く後頭部を抑え込まれた。
「――んぅっ」
より深くなった口付けが、優しいキスから噛み付かれるようなキスに変わる。
俺からけしかけたからか、完全に『ヨシ』だと思っているらしく遠慮がない。
せっかく押し倒す形になっていたのに腰を抑え込まれて、きつく抱きしめられながら口の中を堪能される。
胸が圧迫されて酸欠になって、慌てて顔を引いた。
「…っは、バカ、苦し――」
「俺も苦しい…っ。梅乃くんが大好きで苦しいよ。優しくして…っ」
優しくって、どんな意味で捉えてんだ。
だが我慢出来ないと切羽詰ったように身体を反転させられて、大きい身体が上から覆いかぶさってくる。
荒々しく息を吐き出しながら、熱っぽい視線が俺を見下ろした。
情欲に塗れた瞳は怖気づきそうなほど色気を放っていて、目が逸らせなくなる。
思わず魅入っていたら伸びてきた指先が俺の唇に触れ、中へ滑り込んで来た。
探るように舌先を取られて、一度撫でた後引きずり出される。
そのまま吸い付くようにまた唇を重ねられた。
堪らない気持ちよさが頭まで突き抜けて、鼻から自然と甘い声が漏れる。
「んー…っ」
ぎゅっと奏志のシャツを握りしめたら、その手を取られ指先を絡められる。
そのまま顔の横に持ってかれて、押さえつけられたまま何度も長いキスをされた。
「…はぁ、梅乃くん、大好き。もう俺以外の人に触らせちゃダメだよ」
まだヒビヤンのことを言ってるんだろうか。
触らせない、なんてそんなの無理だ。
「どこにも行っちゃダメだよ。ずっと一緒にいようね」
優しく愛でるように髪を撫でられて、頭の芯が麻痺していく。
ずっと一緒にいたい。
俺もコイツとこの先も、何年、何十年先もずっと一緒にいたい。
そう思っているのに奏志と違ってアホなほど現実的な俺が、いつだってこんなのは長く続くはずがないと囁いている。
いつ奏志に飽きられるのか、いつ周りに否定されるのか。
こんな過剰に甘やかされて、それを失ってしまった時の反動を考えるといつだって足が竦みそうになる。
卒業式前のような思いは、もうしたくない。
それでも今は、もう何も考えられずぼんやりと俺は奏志の言葉に頷いた。
「…分かっ――」
俺の言葉を待たずに、また溺れそうなキスをされる。
頭がくらくらして、触れられる度に意識がドロドロになっていく。
苦しくて胸を押したら、代わりにたくさんのキスが頬やこめかみ、額に雨のように降ってくる。
「んっ…くすぐったい」
「くすぐったいの嫌?たくさん愛させて」
「あっ…」
俺から視線を外さぬまま指先に口付けられて、ゾクゾクとした。
大好き、愛してると言われることが、もう麻薬のように堪らない気持ちよさとなって俺の身体を支配していく。
最後にとろりと潤んだ目元に唇を寄せてから、奏志はゆるく擦り付けるように額同士を合わせた。
「…梅乃くんの気持ち、もっと聞きたいな。俺の事好き?」
どうやら調子に乗らせてしまったらしい。
無自覚に煽られて、全身がカッと熱くなる。
いつの間にか主導権を握られてしまっていることに俺が気付くのは、散々に奏志に愛された後だった。
『それぞれの未来』 完
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