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帰宅後、風呂に入って居間のソファでウトウトしていた。
つけっぱなしのテレビがちょうどいい子守唄代わりで、このまま寝れそー…なんて時にこんなところで寝るんじゃねえと、顔面パックの母親に蹴られた。
完全に自分が悪いが安眠妨害の罪は重い。
若干苛立ちながら自室へ向かうと、飼い猫が足にまとわりついてきた。癒しかよこの野郎。
猫連れて自室に戻り、何気なくスマホを見る。
「うわ」
真島から律儀にも今日のお礼メッセが届いていた。女子かお前は。
しかもなかなかの長文で読むの面倒なんだが。
俺はカシャと連れてきた飼い猫を撮ると、適当におやすみにゃーと打って画像と一緒に返信した。
「はえーよ」
一瞬で既読がついた。
ちょっと怖くなったので真島はおいといて、他に来ているメッセを読む。
それは今日一緒にカラオケ行った女子からで、また遊ぼうというお誘いメッセだった。
ついでに俺の事をいいと思っている女子がいるとかで、連絡先交換してもいいかときていた。
即OKだそうとしたところで、真島から電話がきた。
え、なんで。
「なんだよ」
『あ、高瀬くん。ごめんね。おやすみって送ってくれたのに』
「いや、別に…」
あれ、そういやこいつと電話したのは初めてだっけ。
だから何と言うわけじゃないが、耳に響く声まで相変わらずのイケメンボイスだ。
耳に心地よさが残る低音ボイスは、女子が聞けばさぞかし喜ぶんだろう。
「で、なに」
『あのっ…猫の、高瀬くんが可愛くって…声が聞きたいなっ…て、ああごめん、そうじゃなくて』
どうやら何かテンパっているらしい。
電話越しでもガッチガチに緊張しているらしいその声に、はあと俺は額を抑える。
ええとつまりあれか。
さっきの俺の返信で何かたまらなくなって電話掛けてきたと。
既読から若干間があったのはどうせ電話するかどうか葛藤していたからで、ようやく掛けてみたがテンパって上手く会話できないと。
「お前って本当に残念なイケメンだよな」
『えっ、えっ?イケメン?なに…?ごめん』
なんで謝るんだよ。
なんつーか、こいつとはこんな関係でもなきゃ一生関わることはなかっただろう。
なんとなくだが性格合う気がしない。
『ほんと…ごめんね。俺高瀬くん以外なら普通に話せるんだけど。高瀬くん相手だと、なんかすごいドキドキしちゃって…』
「ああ。もう知ってるからそれはいいよ。気にすんな」
『う…ありがとう。高瀬くん、優しいよね』
いや、それは優しさとかいう話でもなくね?
だがいちいちその辺俺がツッコんでも、どうせ恋の病に侵されている真島には何も通じないだろう。
というかこの際、こいつがなんで俺のことをそこまで好きになったのか聞いてみるのもいいかもしれない。
『あ、あの…それで明日なんだけど』
「うん?」
『その、明日から俺部活あるからしばらく一緒に帰れなくて…』
「ああ、そうなんだ。わかった。部活頑張れよ」
『…っ。ありがとう。頑張る』
じゃーな、と電話を切る。
確か真島ってバスケ部だっけ。よく体育館に女子が群がって騒いでいた気がする。
つーかしばらく一緒に帰れないとか言ってたが、別に毎日一緒に帰る約束なんかしてねーだろ。
たまたま今日誘って来ただけのくせに、何ちゃっかりそういうことにしてんだアイツ。
まあ気が向いたら見にでも行ってみるかなと思いつつ、猫を降ろすと布団に潜り込む。
布団に潜り込んだら真島に聞こうとしていたことも、女子への返信も2秒で忘れて一瞬で眠りについていた。
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