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「え、なんだこれ」
屋上から戻って教室でスマホを見たら、咲希ちゃんからすげーメッセがきてた。
今日一緒に帰ろうから始まって、今どこにいるの?になって、もういい。と最後はキレられてた。
マジかよ。一人で何か始まって完結してんじゃねーか。
慌ててちょっと用事があって、今終わったとメッセを返す。
少しして返ってきた返信は、仲良い女友達からのものだった。
なんでも咲希ちゃんが怒ってるから、フォローした方がいいよ的な。
ちょっと待て。昨日少しいい感じだったとはいえ、まだ付き合ってないよな。
しかもなんで女友達から言われなきゃいけないんだ。
なんだか少し嫌な予感がしたが、とりあえず電話してみるかと掛けてみる。
少しの間があって、もしもし、と可愛らしい声が聞こえた。
とりあえず謝っておくかと下手に出たら、咲希ちゃんはあっさり許してくれた。
多少の疑問はあるが、まあ可愛いから気にしないことにしよう。
今から会いたいと言われて、一つ返事で了承する。
「うめちゃん」
「おー…ってお前らもいるのかよ」
指定された場所に向かったら、女友達も一緒にいた。
二人きりじゃないのかよ。
茶化すように横から何か言われたが、今日のところは機嫌取っておくかと適当に言葉を選んで話す。
「咲希、良かったね。うめのん咲希にベタ惚れじゃん」
「えっ、もー!うめちゃんとはまだそんなんじゃないし…」
ベタ惚れと言われて真っ先に頭に浮かんだのは、真島の顔だった。
え、俺こいつらから見るとあんな風に見えてるのか?
悪いが俺はあんな全力で、咲希ちゃんのために泣ける自信はない。
まあヤりたいからこの際なんでもいいが、しかしその日は女友達のせいで特に進展することはなかった。
それでも明日一緒にお昼食べようと言われ、特に何も考えずにいいよと約束をした。
翌日の昼休み、咲希ちゃんのもとへ向かおうと廊下に出たら、真島がいた。
昨日の今日でしばらくは来ないかと思っていたが、こいつ意外にタフだな。
「あ、あのっ。お弁当作ってきたから…」
「え、マジで」
それは有り難い。
もう作ってくれないと思ってた。
素直に喜んでたら、はいと弁当箱を手渡された。
「それじゃ…」
「え、一緒に食わねーの?」
さっと真島が背中を向けたから、とっさに声をかける。
俺の言葉に真島はポカンと瞬きを繰り返してから、一拍おいて目を丸くした。
「えっ?い、いいの?」
「なんで。フツー作ってきてくれたなら一緒に食うだろ」
弁当だけもらって、はい、さよなら。とかなくね?
俺そこまで薄情なやつじゃないけど。
と、今までの色々な自分の行動を棚上げしていたら、真島は俺の言葉に感極まったような表情で「ありがとう」と嬉しそうに笑った。
ぶっちゃけわざわざ弁当箱返しにいくのめんどいだけだが、とは言わないでおく。
咲希ちゃんも友達呼んでるって言ってたし、また真島を連れていったらあいつらも喜ぶだろう。
そう思い待ち合わせの食堂へ向かおうとして、ふと気付く。
ちょっと待てよ。
もし女友達が俺と咲希ちゃんの事を真島の前で言ったとする。
別に言われる事自体は俺には何の問題もないが、真島はどうだ。
まさかコイツ、泣かないよな?
あの号泣っぷりをみてしまうと、どうにもこうにも不安がよぎる。
なんで俺がそんなことまで気にしてやらないといけないんだとは思うが、如何せん悪者扱いされるのは絶対俺だ。
100人女子がいたら100人が真島の味方をする自信がある。
あ、自分で思ってて悲しくなってきた。
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