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流れ的に亜美ちゃんも昼飯に誘おうと思ったが、それより先に真島に手を引っ張られた。
お陰でろくな挨拶も出来ないまま、屋上に連れてこられた。
「なに。珍しく強引だな」
「あっ、いやえっと…ごめん。その、久々に高瀬くんの顔見たら…すごいテンション上がっちゃって」
「なんだそれ」
旅行から帰ってきたらすげー懐いてくる犬かよ。
馬鹿じゃねーの、と笑ったら、真島はホッとしたように表情を緩める。
「お前テストは大丈夫だったのかよ?この間貞男にちらっと模試見せてもらったら、すげー難しそうだったけど」
「ん、とりあえずやれるだけの事はやったつもりだけど…って、高瀬くんユキと仲良くなるの早いよ。ほんと誰とでもすぐ友達になれちゃうんだね」
真島が知らないだけで、全く仲良くなったつもりはない。
むしろあいつには心底嫌われてるし。
「それに名前呼びだし…」
「ああ、俺あいつの名前気に入ってんだよな」
あいつの反応が楽しいから、嫌がらせのためにこれからも呼び続けよう。
くく、と思い出して少し笑ったら、真島はどこか拗ねたように唇を尖らせる。
そんな顔してもお前の名前は二度と呼んでやらん。
というか可愛くねーから男がそんな顔すんな。
「…あ、高瀬くんはどうだった?テスト」
「別に。いつも通りだよ」
何気ない会話をしながら、真島から久しぶりの弁当を受け取る。
ワクワクしながら蓋をあけたら、目にも鮮やかなオムライスが詰め込まれていた。
「おお。これが食いたかったんだよ」
食いたくなったのは今だが興奮のままそう言ったら、真島はパアッと花が咲いたような笑顔を作る。
テスト明けの昼休みは解放された感があって、清々しかった。
おまけに天気も良くて、俺は終始上機嫌だったと思う。
弁当食い終わって真島にレモンの入った紅茶を手渡されながら、ふとさっきの出来事を思い出した。
「そういやお前、最近亜美ちゃんとメッセやり取りしてんだって?」
「へ?…ああ、そういえば」
何気なく肯定しようとした言葉を、ハッとして真島が飲み込む。
みるみるうちにその顔が、何かヤバイことをしたかも、という青い顔に変わっていく。
「あっ、ごめん。違うんだ。ただ勉強の相談聞いてただけで。もう何も返さないことにするからっ」
「…は?」
おい。ただ聞いただけなのにどうしてそんな発想になった。
色々と飛躍しすぎてツッコミどころが分からん。
そして亜美ちゃん超ごめん。
「あー…いやいや、お前人としてそこは返せよ。さすがに悪いだろ」
真島から来るメッセにほとんど返信してない俺が言うセリフじゃないが。
まああれだ。人間の基本は自分の事はまず棚に上げる、で構成されている。
「…う、そっか。そうだよね」
どうやら真島は俺の無礼には気付いてないらしい。
とりあえず亜美ちゃんの恋路に余計な邪魔をするような事にはならなくてよかった。
「……」
そしてなんか変な空気になった。
なんでだ。
「あー、まああれだ。俺別にお前の交友関係に口出しするつもりねーから。変に気にしないで勝手にやれよ」
「…えっと、うん。でも何か嫌なことがあったらすぐ言ってね」
「ねーよ。第一お前浮気とか絶対しねーだろ」
自意識過剰すぎる一言だとは思うが、ハッと笑って言ってやる。
が、言ってから俺は何か墓穴を掘った気がしてならない気持ちになった。
不意に横から手が伸びてきて、反射的に目を瞑る。
それは俺の髪の毛を梳いて、優しげな手つきのまま耳を撫であげた。
そのくすぐったさにうっすらと目を開けたら、俺を見つめる真島の瞳と目が合った。
どこか切なげに下がった目尻に、ハッと目を奪われる。
「大丈夫だよ。俺高瀬くんのことしか見てないから」
「…え」
いきなり何を言っているんだと目を瞬かせたが、真島は俺に触れたままニコニコと柔らかく微笑むだけだった。
少し放心してしまったが、一拍置いて俺はようやく真島の言葉の意図を知る。
「…おい、ちょっと待て。お前何か勘違いしてるだろ」
「えっ?その…高瀬くん、や、妬いてくれたんじゃないの?」
「アホかっ。俺がお前に妬くワケねーだろっ」
「えぇー…」
どんなご都合主義な頭だ。
なんか真島の様子がおかしいと思ったら、そんな事考えてやがったのかよ。
真島のくせに一瞬見惚れてしまったこともあり、余計に苛立ちがつのると俺は真島の脇腹に軽くグーパンをいれてやった。
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