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というわけで文句言いたげな男二人はおいといて、さっさとお化け屋敷に入ることにした。
一番に入っていった真島ペアを見送ってから、じゃあ行こうかと女の子に声をかける。
俺のペアの仁美ちゃんは、黒髪ロングのおとなしめな女の子だった。
正直お化け屋敷とか、別に相手も人だし何が怖いのか分からん。
あえていえば薄暗いから、足元見えずに躓く可能性があることくらいか。
が、女の子がそれなりに怖がってくれるのは有り難い。
仁美ちゃんは不安げに俺の後を着いてきていた。
たかが作り物でビクビクして、別段触っても来ないお化けに悲鳴をあげる。
まあセクハラ疑惑とかついても困るから、今時お化けも客との境界線は大事なんだろう。お疲れ様です。
あえてゆっくり歩みを進めつつ中間くらいまで様子を見ていたが、いよいよ仁美ちゃんの足が進まなくなってきた。
そのタイミングを見計らって、俺は声をかけた。
「大丈夫?怖いなら手繋いでいこうか」
はい、と軽いノリで手を差し出したら、仁美ちゃんはホッとしたように俺の手を握ってくれた。
内心ガッツポーズをしながら、再び歩みを進める。
手を繋いだ女はヤれるという勝手な持論のある俺は、ここで仁美ちゃんはいけると確信した。
お化け屋敷を出るまで仁美ちゃんをエスコートしてあげて、外へでると真島と亜美ちゃんの姿が見えた。
「おーい、真島。亜美ちゃん」
楽しげに話をしている二人に声をかける。
なんだかんだ仲良くなってんじゃねーか。
どうやら貞男ペアはまだ出てきてないみたいだ。
俺達の姿に気付いた真島と亜美ちゃんは、笑顔で手を上げてこちらに近づいてくる。
が、不意に真島がはっと目を見開いたかと思うと、その顔つきが変わった。
足早に俺達の前まで来たかと思ったら、ぐいと俺は手首を掴みあげられる。
あまりにも勢い良く引かれたせいで繋いでいた手が解かれて、仁美ちゃんは驚いた顔で真島を見つめた。
「――あ…っと、お前、まだ続けてんのかよ。ごめんな、さっきまで真島とふざけあっててさ」
「あっ…なんだ。びっくりしたあ」
真島の突然の行動に、とっさに言い訳したのは俺の方だった。
こいつ。あの勉強会の時と、また同じようなことしやがった。
しかもこっちがフォローしてやってんのに、真島はなかなか手を離さない。
骨が軋むほど強い力で掴み上げられて、俺は鈍い痛みに眉を顰める。
「…っあ、ごめん」
俺の表情にようやく気付いたらしい真島が、慌てて手を離す。
ちょうど貞男ペアがでてきたこともあって、その場は変な空気になるでもなく収まった。
貞男はお化け屋敷も苦手だったらしく、また青い顔で脱力している。
あいつ遊園地ダメすぎんだろ。よく来ようと思ったな。
「…あ、あの。高瀬くん」
やばい、と思ってるんだろう。
気付けば真島も貞男レベルの青い顔で、どこか怯えたように俺を見降ろしていた。
だが二度目にもなるとさすがの俺も見過ごせない。しかもフォローさせられたし。
「…お前、この間も同じことやっただろ。いい加減にしろよ」
冷たく言い放つと、俺は真島を一瞥してみんなの元へと向かった。
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