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それからお化け屋敷、スイーツ喫茶、ストラックアウトだとか連れに連れられまくって、最終的にプラネタリウムで爆睡したら怒られた。
「…もう解放して下さいよ。充分楽しんだでしょう」
「えー、まだ見てない所いっぱいあるのに」
実習棟から出て渡り廊下を歩いていたら、ふと人混みが目に入った。
ざわつく声になんだろうと目を向けようとしたら、先輩が手にしていたポップコーンをはい、と俺に渡してきた。
口の前に持ってこられたから、反射的にパクリと食べる。
「ふふ、美味しい?」
「…別に普通ですけど」
塩加減が微妙に足りないただのポップコーンだ。
いきなりなんなんだと思いつつ前を向いたら、人混みの先に真島がいた。
あ、しまった。とは思ったがもう遅い。
キャーキャーと黄色い声をあげる女子に囲まれた真島と目が合う。
その表情は愕然としたように強張っていて、恐らく今の光景をバッチリ見られてしまったんだろう。
というか先輩それに気付いて謀ったな。
そういえばここは体育館に続く渡り廊下でもあり、どうやら真島のクラスの演目はこれかららしい。
どう見ても一瞬で顔に出た真島にマズイ、とは思ったが、こんな人の多い場所でしかも女子に囲まれている真島に対して、何か取り繕う言葉をかけるわけにもいかない。
「あ、見られちゃったね」
先輩が悪気なさそうな顔で言う。
おい、絶対わざとだろ。
とは思うが、そもそも先輩に付き合った自分の行動が浅はかなだけで、それを差し置いて責めるのはお門違いだ。
まあそれでも真島は先輩のことを悪く言ってなかったし、あの時も気にしていた様子はなかった。
少しくらい機嫌損ねられても、またあとでフォローしにいけばいいだろう。
そう思って真島を見たら――フイ、と視線を逸らされた。
え、と俺は固まる。
俺の姿を見たらいつだって嬉しそうな顔して喜んで走ってきていたのに、真島は何事もなかったように女の子に向き直る。
わらわらと賑わう女の子たちに何か謝ってから、時間を気にするように背を向けて歩いていった。
「…あ、おい。まし――」
ざわりと嫌な感じがしてとっさに声をかけようとしたが、先輩に手を掴まれた。
「別に普通の反応じゃない?人気者だもん。これから劇もあるし、うめのんに構ってる暇ないでしょ」
真島の背中を目で追いながら、先輩の言葉がどこか遠くに聞こえた。
背筋に冷たい何かが這い上がってくるような感覚。
俺は衝撃を受けたように、その場から一步も動く事が出来なかった。
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