アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
103
-
それから夕飯の買い出しをするため、真島とスーパーに向かった。
飛び跳ねそうな勢いで機嫌が良くなった真島は、買い物カゴを持ちながらニヘラと赤い顔で笑う。
「高瀬くん、何食べたい?」
「肉」
「はい!」
従順な返事とともにテキパキと必要なものをカゴに入れて、あっという間にレジに並ぶ。
ホントコイツはいい主夫になれる。
買ったものをスーパー袋に突っ込んでたら、ふふっと真島の笑い声が落ちてきた。
「なんだよいきなり。気持ちわりー奴だな」
「ふふ、ごめん。ごめんね」
俺の手に着いたミサンガを見て、嬉しそうに笑っている。
たった50円でここまで幸せそうな反応をしてくれるとか、なんて安い男だ。
ガツッと脛を蹴ってから、真島にスーパー袋を持たせて家に向かう。
「あー…こら」
「ん、ごめん。ちょっとだけ…っ」
案の定、すぐにがっつかれた。
もう毎回の事だから慣れたが、コイツは家に来るとまず絶対にくっついてくる。
せめてリビングまで行ってくれればいいものを、毎回玄関入ると理性が抑えきれなくなるらしい。
というかコイツの中では『ちょっとだけ』と言えば俺が許すと思ってるんだろうか。
ちょっとで済んだことなんか一度だってない。
ちゅっと何度も音を立てて髪や首筋やらに口付けられる。
ゾクゾクと背筋に甘い疼きが走って堪らなくなり、俺はきゅっと真島のシャツを握りしめた。
「…っはぁ、可愛い。高瀬くん、大好き…っ」
真島が伸し掛かってきて、そのまま床に押し倒される。
冷たい感触が来るかと思ったが、背中をそっと支えてくれた。
それから両手を真島の指先に絡め取られて、すぐに唇に吸い付かれる。
余すところなく口の中を貪られて、酸素を取り込もうとしたらじゅっと舌先を甘く吸われた。
ヒクリと身体を震わせると、堪らないといった感じで唇に噛みつかれる。
互いの唾液が顎を伝うほど長い口付けをして、頭の芯までどろどろにされていた。
ただ真島が好きだと、本当にそれだけで頭がいっぱいだった。
「――っ」
不意に真島がガバっと俺を離す。
あれ、とぼんやり見上げたら、真島が肩で息をしながらどこか呆然としたように俺を見下ろしていた。
「…なに、どうした?」
それは少し見慣れない顔だった。
その瞳は切羽詰まっているようで、だが表情はどことなく罪悪感を感じているようでもある。
まだ定まらない頭でぼんやりと目の前の瞳を見つめていたら、真島は焦ったようにさっと俺からどいた。
「…ご、ご飯作るねっ」
「あ…?おー」
人をこんなにしておいて、なんなんだアイツは。
身体を起こして、顎に滴り落ちる唾液を手の甲で拭う。
その手首にはミサンガが巻かれていて、俺は人知れず表情を緩めていた。
真島との初デートは、途中不穏な空気もあったがそれでも終わってみればやっぱり楽しい思い出だった。
少なくとも今俺は幸せで、卒業式の事を考えると胸は痛いが、それでもまだもう少し先の話だ。
だがここから少し、真島がおかしくなっていく。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
112 / 251