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Story3
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「あ、もう授業始まるから教室来いよ?」
『...お前の授業だからいかねぇ』
「なんでそんな嫌われてるのか...あんなー俺の評価下がっちゃうでしょ〜」
『そんなん知らねぇよ。早く行け』
「少しでもいいから来いよ」
そう言って黒木は屋上から出ていった。
生徒が立ち入り禁止の場所に入っていて、しかもタメ口で話し、更には授業に出ないというのに怒らないなんて変わった奴だ。
『臭ぇ』
_______
結局その日は授業に1度も出なかった。
家から出ないと色々言われるから一応来てるけども、だからと言って授業を受ける気はさらさら無い。
全校生徒がぞろぞろ帰り始めた頃に珂神は重い腰をあげ、下駄箱に向かった。
「おい見ろよ。珂神来てたんだな」
「授業出てたっけ?」
「さあ?どうでもいいけど」
そんな声がたまに聞こえたりするのもいつもの事。
雑に靴を取り出し履き替えていると、聞きなれた声が聞こえてきた。
男にしては少し高めの声......。
「あっいた!!」
『瑞稀』
「も〜コーちゃんちゃんと授業出なきゃダメじゃん!」
『その呼び方変わんねぇの』
「え?ダメかな?」
今日も変わらずお節介だななんて思いながら再び靴を履きかける。
瑞稀は「ちょ、待ってよ!」と言いながらあたふたしているが。
『...うぜぇ。待っててやるから静かにしろ』
その途端瑞稀は効果音が聞こえてくるほどにわかりやすくパアアっと顔を輝かせる。
「コーちゃん優しい〜!ありがと」
『うるせぇ。行くぞ』
「うん!」
たまに不思議に思うこと。
瑞稀は誰かに嫌われているわけでもなく、むしろ好かれているのになぜ俺なんかに構うのか。
自分から嫌われるような行動をしているようにしか見えない。
前に少し聞いても
「僕は一緒にいたい人といるだけだよ」
なんて笑顔で答えるもんだから何も言えなくなってしまった。
思い出して少しだけ胸が暖かくなるが、今からあの家に帰ることを思い出し、途端に冷める。
あぁなんでこの家に生まれたんだろうってもう何万回思ったことか。言ってても切りがないな。
「コーちゃん顔怖いよ?大丈夫?」
『は?別に』
「そ?それならいいんだけど」
こんな見た目して案外鋭い瑞稀には多分もう勘づかれているけど一応隠しておこう。
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