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Story5
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「...もう1回言ってごらん?」
『だからしてねぇって』
「お...まえはまた!」
その瞬間クソ親父は音を盛大に出しながら立ち上がり胸ぐらを掴んできた。
なんでこうゆう時には現れてくれないんだよ兄者は。
「おまえはまた俺の期待を裏切るのか!努力もしないで、珂神家の恥だっ!」
『知ってる』
「知っているなら改善しろ!せめてこの世に生まれた意味は残していけクソガキ」
意味を失くしたのはあんたのせいなのではないか。そんな事を言ったら本当に殺させるかもしれないけど。
「最善を尽くしても報われないならまだいいとして、努力もしない奴はこの家には必要ない!珂神の名を名乗れるだけ感謝しろ」
どの口がそれを言うのか...。
努力を評価せずに突き放していったのは誰だった?紛れも無く目の前の充血した目を向けて来るこいつだろう。
「ふぅ...もういい。少しは予想できていた。さてお待ちかねの時間だぞ」
『分かってる。やれよ』
「偉そうな口を叩くなゴミ」
____バキッ!!
痛々しい音が聞こえると同時に目の前が白くなる。口の端から赤いものが流れているのが分かって手で拭った。
それからも"いつものように"顔、腹、足、手、頭を何度か殴られた。
何度味わっても慣れない痛みに顔を歪ませても絶対にやめてくれないのがクソ親父だ。
________
『ぐぅ...がっ!ぐあっ!!』
「よし。もういい出ていけ」
『かはぁっ!ゲホゴホッ...はぁ』
終わって最初に
「もう同じことが起きないようにしよう」ではなく
「また瑞稀に心配をかけてしまう」
と思った俺はこれからも変わらないんだろうな。
冷たくて虚しい廊下を少し進むと、ムカつくほど清々しい顔をした野郎と目が合った。
「あれ?コウ」
『......』
ろくなことを言う気がせず、無視して立ち去ろうとしたが上手くいくはずもなかった。
「その傷...大丈夫か?」
『お前に心配なんてされたくねぇよ』
「全く。弟を心配して何が悪いんだ」
『お前に言われると嫌味にしか聞こえねぇからだよ』
「そんなつもりはないんだけど...この家に生まれたからには俺たちは人形になるしかないんだよ。その方が上手くいく」
『なんだよそれ、なんで自分の意思で動いちゃならねぇんだ』
「しょうがないって思っているしかないだろ?」
『俺はお前とは違う。人形にはならねぇ』
サクはなにか言おうとしていたがはそれを見ていない振りをして部屋に戻った。
...だからろくなこと言わないって思ったんだ。
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