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Story3~黒木side~
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頭の整理が追いつかなかった。
もう「美穂さんが死んだ」と言われてから1ヶ月も経っているのに...。
それはほんの数時間のように感じ、未だに彼女がここに戻ってきてくれることを期待なんかしてた。そんなことあるはずないのに。
いや、戻ってくる?違う。
元々美穂さんの居場所はここじゃなかったのかもしれない。
「黒木渚。いつまで外にいるつもり?いい加減にしなさい。美穂は帰ってこないわよ」
そんなの知っている。
ここで前にクッキーを貰ったことがあるなとか考えていただけだ。
別にそんなの...期待してない。
「ほら、さっさと入りなさい」
無理やり腕を引っ張られ、室内に投げ込まれる。床にぶつけた腕が痛かったがあまり気にはならなかった。
美穂さんが死んで数日たった後、俺に一通の手紙が届いた。それは...死んだ美穂さんからだった。
"まだ生きてる"そんな言葉を探したけど、そんな童話みたいな物語はどこにもなくただの手紙。
そしてその手紙を読んで分かったのだ。
美穂さんは自分が死ぬことを知っていたんだって。だから俺に手紙を書いておいたんだ。
___________
渚くんへ
渚くんこんにちは!どう元気?
んー手紙って難しいね。なんて書き始めたらいいのか分からないなぁ。
あ、そうだ!この前言ってた「アイシングクッキー」作ったんだよ。
私の孤児院のロッカーに入れといたから食べてほしいな!
日持ちするか分からないからできるだけ早く!
渚くん最近は顔色もいいし元気そうだから大丈夫だと思うんだけど、私が居なくてもちゃんとご飯食べてる?
ちゃんと寝れてる?
たまに不安になるんだよね。渚くんご飯食べるのよく忘れてるし...。
私が心配するまでも無いくらいなら安心するんだけど。
さて、本題にはいります!
今回手紙を書いたのはね、多分もう渚くんとちゃんと話せることはないと思うから。
私じゃべるの得意じゃないしね。手紙で今までのこと全部伝えちゃおうかと思って!
んん"!まず1つ目。「いつもありがとう」
ここだけの話。実は私友達作るの得意じゃなくて...緊張して声が出なくなったりとかしちゃってね。
そのせいで仲いい人が居ない人生だったんだ。自業自得なんだけどね。
でもね、渚くんと2年前に出会ってその時は私が16歳で渚くんが5歳だったかな?
11も離れてるんだねぇ。
渚くんは私なんかよりもずっとしっかりしてて、一緒にいると楽しくて、とってもかけがえのない時間だった!
それに凄く優しい子。前にクッキー食べてくれた時本当はまずかったでしょ。
渚くん意外と顔に出やすいんだよ(笑)
美味しいとは言ってくれなくても普通だけで私にとっては充分嬉しかったし、初めてだったから。
本当にありがとう。私に思い出をくれて、喜びをくれて。
そうゆうものをこれからも作っていきたかったけど無理みたい。
それと2つ目!「幸せになってね」
人生ってね、成功する事より失敗する事の方が多いんだよ。
それでもみんな自分なりの幸せの形や色を見つけて生きてる。
死にたいって思った事なんて何度もあるよ。でも意地でも生きるって私は決めてた。
そうしてればいつか幸せが訪れるって信じてたから。
実際渚くんに出会えたしね!渚くんと居ること。それが私の幸せの形。
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