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Story19
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「凄いね、客室まであるんだ」
黒木は周りを見渡しながら関心したような声でそう言った。
確かに客室なんて普通の家には無いだろうし、クソ親父の性格上、全ての部屋が同じくらいのレベルになっている。
『それでもここは客室の狭いほう。もうひとつは3倍ある』
「へぇ、それは見てみたかった」
「コウ様。黒木様。紅茶のご用意が出来ました」
河合の声に振り返るといつもの笑顔に戻っていて、テーブルにはクソ親父がどっかから取り寄せたとかなんとか言ってた紅茶と三段のプレートいっぱいにスイーツがある。
「美味しいですね。これは...英国のもの?」
『はい。よくご存知でしたね。先日ご主人様がイギリスから取り寄せたイーストインディアカンパニーです』
「ああ。1度飲んだことがあります。これはアッサムですかね」
『はい。イーストインディアカンパニーは400年以上もの歴史があり、品質の良い紅茶と言ったらこれだとも言える素晴らしい紅茶です』
黒木が紅茶について詳しいことには少し驚いたものの、後からこいつならそれもおかしくないかと思った。
金はあるとか前に言ってたし教師以外の仕事もしてたりしてな。
「じゃあ冷めちゃう前に頂きますね」
「ごゆっくりと。コウ様もお座り下さい」
『ああ...ありがとう河合』
すると黒木はカップを持ちながらこちらをキョトンと見ている。
「河合さんには素直なんだね?」
『?どのへんが』
「俺にありがとうって言ってくれた事ないだろ〜?」
『...あそ』
なんだそんなことか。河合はなんというかメイドだからお礼言っても軽く会釈をする程度だから面倒くさくないし...それなりに信用してるのもある。
けどこいつに「ありがとう」なんて言ったらそれはそれは面倒臭い反応が帰ってくるだろう。
だから嫌だ。
「あ、河合さん。後でお時間あります?」
「申し訳ありません。この後はコウ様のお世話をとご主人様に頼まれていますので」
「じゃあ珂神の許可取ればいいんですか?」
「いえ...そういう訳には」
「ね、珂神。今日は河合さんに付いてもらわなくて大丈夫?少し話があるんだよね」
俺にそんな事言われても。
俺はが良くても河合は仕事をやり遂げたいのではないか。俺がいいって言ったらそうしてくれるんだろうけど...。
けどやはり黒木の目的は河合か。
こういう人が好みなのか?いやでも名前だけで興味を持つなんて普通ないし...。
「珂神?」
『えっ、あ。別にいいんじゃねぇの?河合の気持ちは分かんねぇけど』
「その様でしたら分かりました。では黒木様30分で宜しいならこの後奥の部屋でお話しましょう」
『ありがとうございます』
お礼を言う黒木は笑顔でそれは作られたものに見えた。俺が見てきたものとは全然違う。
目が冷たい。光がない感じだ。
それからすぐに2人は部屋を出ていき俺は1人で黙々とスイーツを食べていた。
河合は俺のことを何度も気にしていたが「大丈夫」と言い聞かせた。
何を話しているんだろう__?
そう思いながら食べたラズベリー味のマカロンはいつもよりも酸っぱく感じた。
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