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Story20
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客室から少し奥にある一室。
あまり使われていないのか埃っぽく感じるがむせる程ではない。
使わない部屋は掃除しないのかと黒木は思ったが目の前でどかっとソファに座った河合を見たら「こいつならしないか」と納得した。
「相変わらずだな?」
そう言いながら黒木も続けて向かいのソファに座る。
「それっテどうゆうこト?そっちだって髪切ってたかラ最初他人の空似かと思ったヨ」
「まああれだけ長かったら切るよ。その独特な喋り方は変わってないね」
「独特?別ニ普通でしョ?」
黒木は何を言っても無駄だと分かりそれ以上は何も言わなかった。
昔から河合は人の話を聞かない自由人だったし、独特の世界に居た。
変わっていない。
「メイド...ほんとにしてたから驚いた」
「宣言したじゃない。復讐してみせるっテ。あいつハ私が殺ス」
「怖い事言うな〜?本気じゃないと願ってる」
目の前で不思議そうな顔をする河合は「あっ」と何かを思い出したかのような声を上げた。
「そっチだってホントに教師してて驚いたヨ?」
「案外楽しいぞ〜。珂神に出会えたし」
「コウ様?アイツは好きだヨ。面白いし」
「復讐したい奴の子供なのに?まあ俺も好きなんだけどね。面白いし」
「親と子は違ウでシょ?渚だって復讐したいんじゃないノ?」
黒木はもちろんそうだと言いたかった。
だが復讐した所でどうなる?彼女が戻ってくるのか?俺の所に来てくれるのか?
きっと違う。彼女が戻るのは黒木達が復讐したい相手だ。
「虚しいなぁ...」
「何か言っタ?」
「別に〜。それにしても珂神の親があいつだったなんてな」
「なニ。知っててコウ様に近づいたんじゃないノ?」
「違う。そもそも美那がここにいるのも今日知った」
珂神が話した河合というフレーズに引っかかり下の名前を聞いてみたのだ。
もちろん最初は偶然かと思ったが顔を見てハッキリわかった。
昔とは随分雰囲気の違う河合には戸惑ったもののその顔は整ったまま。彼女と同じ。
「ふぅン。てっきりここに来るためニコウ様と仲良くしてんのかと思ったヨ」
「違う違う。珂神はほんとにたまたまだしな〜好都合だけどさ」
「いい性格してるネ?」
「美那に言われたくない」
ニヤついてる河合を黒木は流しつつ言葉を続けた。
「それよりもうすぐ戻らない?珂神待ってるでしょ」
「そうだネ。その前に1つ聞くけど、コウ様とヤったんでしょ?」
「あれ?分かっちゃった?」
「今少し占ったら分かったヨ。好きだネほんと」
「愛されてるって感じられるでしょ?」
「そんナの身体だけで何ノ意味も持たない」
「それはそうなんだけど」
河合の言うことは最もで言葉に詰まってしまった黒木はそのまま立ち上がり珂神の待つ客室へと向かった。
1人残された河合は珂神が出ていったドアをじっと見つめている。
妙に寂しく見える背中は昔と変わらず、懐かしさを覚えた。
「虚しいネ。渚?」
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