アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
story25
-
それからランチを一緒に食べて、少し休憩したあと水族館を出てショッピングに行くことになった。
ランチは普段出されるものと比べたらまぁまぁだったけど、十分美味しかった。
そこで気がついたのだ...。
「んー何処行く?俺は何処でもいいけど」
『じゃあ...服、見たい』
「おー。じゃあ行くか」
あれ?何だろうかこの違和感。
さっきまでと違う?
『黒木...なんでまたキャラ作ってんだ?』
「え?」
だって、きっと素の黒木だったら「じゃあ行こっか」みたいに微笑んで言うはずなのにさっきの言い方だと普段学校にいる時と同じだ。
どうして急に変わったのだろう。
『また雰囲気変わってるし。学校と同じだろそれ』
「あー」
『?何で黙んだよ』
黒木は何かを考え込むようにした後、渋々といった感じで俺の方を真っ直ぐに見てきた。
それはとても真剣な目で何故か逸らすことが出来なかった。
「...どっちの俺が好き?」
『は?』
「やっぱりダメだな。混ざっちゃう」
『何言って...』
「珂神には嘘つけないなぁ」
さっきから何を言っているのだろう。
嘘?俺になんの嘘をついたのか。
「ちょっと、座らない?」
そう言って黒木はまた1歩前を歩き出す。
その足取りは先程とは違くて、俺に合わせていなかった。
すぐそこにベンチがあったので黒木がゆっくり座ると、続いて隣に座った。
「...珂神には本当の事を話す」
『何だよ』
「俺ね、素の自分がどれかって自分でも分かんないんだよね」
『分からない?』
「そう。昔から、仮面をかぶりすぎていつしか自分に対してもキャラを作るようになって...」
何かを懐かしむような、悲しむような、恨むような、そんな目だ。見たことないような目。
「それで気づいたら本当の自分がどれなのか...分からなくなった。さっき珂神に嘘をついたのは、珂神がああゆう俺が好きそうだったから」
『え、いや。好き?』
「戸惑ってたみたいだけど凄い明るい顔してたから好きなのかなーと。だから珂神の前ではこうゆう自分でいようとつい反射的に考えてて」
『そ...』
それは俺に好きでいて欲しかったからなのか。それとも...嫌われたくなかったのか。
反射的にって事は俺に限らず殆どの人にそうゆう対応をしていたのだ。
嫌われるのが、怖い?
『なんでそうなっちまったんだよ』
「んー?何でだろ。気づいたらそうなってた」
『嫌われんのが嫌なのか』
「そうかも。けど珂神に対しては違う。ちゃんと好きでいて欲しかったから」
『元々好きじゃない』
「はは。まだ素直じゃないのかー?」
好きじゃ...ない。嫌いでもないけど。
好きではない。はず。
『自分一人でいる時もキャラが混ざるのか?』
「そうだね。あんまり1人でいることは無いけど」
『いや、家帰ったら1人だろ。結婚してんのかよ』
「痛い所つくね?独身だけどさ、でもあんまり家帰らないから」
『?へぇ』
よく分からなかったけどそこはひとまず置いておく。
一体黒木にはいくつの顔があるのだろう。
昔に何かあったのか。何がきっかけで、どうしてそうなってしまったのか。
また、聞きたいことが増えてしまった。
『...じゃあ提案なんだけど』
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
32 / 53