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story34
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『なあ...』
今なら、聞けるかもしれない。
タバコを吸い始めた理由。ただ聞くだけなんだし。
『なんで、タバコ、その、吸い始めたんだよ。この間まで、吸ってなかった...だろ』
「え?」
言えた。ずっと心のどこかで引っかかってたことが聞けてなんとなくスッキリした。
黒木は暫く真顔で黙っていたが、すぐに笑顔を取り戻し「なんとなく」と言った。
『なんとなくって...』
「ずっとタバコ吸ってるとさ、吸わないと落ち着かないんだよ。だからたまには吸っとかないと。珂神が苦手なのは知ってるけどごめんね」
『別に俺には関係ねぇし、つうか最近なんなんだよ。妙に暗い顔して、分かりやすすぎんだろ』
「分かっちゃう?」
すると黒木はずっと立って話していた俺に「ここ座って」と自分の向かいに座るように指示した。
言われた通りにそこに置かれたパイプ椅子に座ると、書類やノートを軽くまとめ、再び俺の方を真っ直ぐみる。
「ちょっとね、色々あって落ち込んでたっていうか。元気なかっただけ」
『...ふぅん』
「あれ?深く干渉してこないんだ」
『興味ねぇし。大体そうゆうのは聞かれたくねぇもんだろ』
黒木は「ふっ」と1度笑うと「ははっ、そうだった。珂神はそうゆう奴だった」と故か嬉しそうに言った。
黒木に何かあったのだろうということは見て分かる。
だが俺がそれについて知ったところで何か出来る訳では無いのだから、聞かなくてもいいだろう。
『はあ、つうかもうくせぇから行っていい?提出物は出した』
「え?もう行くの?」
『この匂いの中いるの嫌なんだよ。じゃあ俺行くか...うゎ!?』
そこまで言った時、グイッと腕を引っ張られた。
コケそうになった所を何とか踏ん張り、顔を上げる。気がつくと目の前には黒木の整った顔。
多分顔の間の距離は3センチもない。
「珂神」
今すぐ振り払ってでも何ででもして逃げればいいのに。俺はそうしなかった。
理由は...。
とても、寂しそうな顔をしていたから。
『んっ!?』
唇が重なる。
この生暖かい感触は、未だに慣れない。
ゆっくりと顔が離れるものの、頭の後ろをがっしり掴まれ、逃げるにも逃げられない。
『んん...!』
何度も角度を変えながらキスをされる。
次第に息苦しくなり唇を薄く開けると、待ってましたと言わんばかりに舌をねじ込まれた。
『ちょ、くろ、んっ...。ふぅ、んん』
「んっ...」
貪るような激しいキス。
呼吸をする暇も与えず、ただただひたすらにそれを受け入れるしかない。
黒木が息を吐く度に不快な匂いがした。
だがそんなことを気にする余裕などなかった。
『んぁ...。はっ、はぁ...はぁっ』
「はぁ...」
『な、何っ...』
肩で息をしながら言葉を発する。
黒木は何も言わず小さく息を零すだけ。
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