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喪失 3
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気が付いたら朝になっていた。
お父さんとお母さんの病院からすぐ近くにあるホテルに警察の人が付き添ってくれてチェックインした。
部屋まで付き添ってくれてた。
お風呂は?ご飯は?と心配してくれたけど、もう済ましたと伝えると帰って行った。
起きてテーブルに置いていた携帯を掴むと正兄ちゃんと律兄ちゃんから夜中に何度も電話が入っていた。
画面をタップするとコールが鳴る。
『雫?!今、何処にいるんだ!!!』
正兄ちゃんの焦った声が聞こえた。
「今ね、〇〇市の〇〇〇ホテルにいるよ」
『はぁ?!なんでそんなとこにいんだよ?!』
今度は律兄ちゃんの焦った声。
「うん、あのね、お父さんとお母さん……死んじゃった。」
言葉にする事で現実味が増した。
その後すぐにお兄ちゃん達はホテルまで来てくれて、「ごめん、ごめん」と何度も謝ってた。
僕もお兄ちゃん達に抱き締められて、やっと正常に戻ったんだろう小さな子どものようにワンワン泣いて泣いて泣き疲れて寝てしまった。
律兄ちゃんが寝てる僕の側にいてくれて、その間に正兄ちゃんが病院へ行ってくれた。
夕方、目の覚めた僕は、あれは夢だったんじゃないかって思ったけど、兄ちゃん達ともう一度、病院に行って、やっぱり夢じゃなかったんだと分かると、また次から次に涙が溢れてしまった。
それから、お葬式をしてなんか手続きみたいなのがあって、でも、それも兄ちゃん達がやってて僕はあの日が幻だったみたいに泣くばっかりで自分の事ですら、まともに出来てなかった。
お兄ちゃん達は、お葬式では泣いてたけど、それ以外では泣いてる所を見る事はなくて。
「雫、ご飯食べようね。」
「雫、お風呂一緒に入ろう。」
「雫、今日も一緒に寝るか?」
「雫、我慢しなくていい、泣きたいだけ泣け。」
面倒くさがりの律兄ちゃんですら優しかった。
多分、2人はあの日僕を1人にしてしまった事、電話に出なかった事を悔やんでるんだと思う。
僕も辛かったのも勿論あるけど、大好きな2人に世話をやいてもらえる事が嬉しくて甘えてたんだと思う。
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